『明日世界が終わるなら……』
<隕石落下まで残り24時間を切りました>
テレビから世界滅亡の事前予告が流れた。
余命─24時間
残り17時間
コンビニは無人で街には人がいる気配がない。
会計カウンターには無造作に大小様々なお代が
置かれている。
残り9時間
映画を見ていたがテレビの画面が暗くなった。
電気が通らなくなり始めたみたいだ。
結末が気になるなあ、また今度見よう。
残り5時間
お腹が空いたから冷蔵庫を漁ってみた。
半額のプリンの消費期限は明日までらしい。
「明日食べようかな」冷蔵庫に戻した。
残り30分
町中の電気が消えて空が明細になった。
隕石が大きな流れ星のように観えて酷く綺麗だ。
もし願いが叶うなら最後に何を願おうか。
残り0分
隕石が地球に降り注いでいる。
窓辺に手を置いて頬を預けながらその光景を観る。
映画の続きを見ているようだ、と何処か夢心地。
プリンは食べれそうにない。
【刹那】
刹那、赤い閃光が弾けた。
バチバチと目の前で赤が瞬く。
キーンという耳鳴りが脳を木霊する。
遠くで誰かが呼びかける声がする。
切ない、何とも呆気ない死なのだろうか。
その刹那脳裏をよぎるのは過去の記憶。
走馬灯とは本当にあるのだな。
重たくなる瞼に従順に目を閉じた。
耳鳴りが止んだ。
【ルール】
青は安全で、赤は危険。
青は進めで、赤は止まれ。
青信号だと進まないと。
後ろがつっかえるから進みなさい。
赤信号だと止まらないと。
死にたくないなら止まりなさい。
けれど、時たま。
なんだか、なんとなく。
青信号だけど進みたくないなあ。
赤信号で止まって、青になるのを待つ。
ずっと赤く点滅しててくんないかなあ。
嫌だ。嗚呼、嫌だ。
あ、青になった。
赤くしないと止まっていいって
進んじゃダメだって赤じゃないと。
青だと、進まないといけなくなる。
あ、赤になった。
この赤が終わったらどうしよう。
終わらせないようにしないとね。
ずっと、赤いままにしないとね。
もう、進まなくてもいいのかな。
進もうにも、足動かないや。
よし、これで大丈夫。
【今日の心模様】
心は粘土でも紙でもない。
それこそ、綺麗な雪原のような。
嫌なことがあって嬉しいことがあって。
悲しいことがあって幸せなことがあって。
それが形をもって雪を汚して。
嬉しいこと、幸せなことがあって、
雪が降って、積もって元通り?
雪を汚して形を成して模様を写して、
それは、雪が降るよりも早く。
溶けて降って積もって汚して。
嫌なことも嬉しいこともあるけれど、
人間というものは嫌なことばかりに目がいく。
それだから、人間と言うのかもしれないし、
そんなんだから生きづらいのかもしれない。
心模様は今日だけ写せるほど綺麗じゃない。
昨日の分と今までの分が重なってるから、
模様というより歪で幼稚なラクガキみたいな。
綺麗な心を見せたいから幸せだと嘘をつく。
大丈夫、今日も僕らは幸せだ。
【雫】
雨が下におちる。
アスファルトにできた水たまりに
おちた雫がはねて静かに波紋をつくる。
雨が下におちる。
君が嫌いだなんて言うから
下手に拭った手に染みをつくる。
雨が下におちる。
皺だらけの手から零れていく。
産まれたあの日と重なって広がって。
雨が下におちた。
冷んやりとした病室で無機質な機械音が響く。
ついに、雨は止むことはなかった。