【ルール】
青は安全で、赤は危険。
青は進めで、赤は止まれ。
青信号だと進まないと。
後ろがつっかえるから進みなさい。
赤信号だと止まらないと。
死にたくないなら止まりなさい。
けれど、時たま。
なんだか、なんとなく。
青信号だけど進みたくないなあ。
赤信号で止まって、青になるのを待つ。
ずっと赤く点滅しててくんないかなあ。
嫌だ。嗚呼、嫌だ。
あ、青になった。
赤くしないと止まっていいって
進んじゃダメだって赤じゃないと。
青だと、進まないといけなくなる。
あ、赤になった。
この赤が終わったらどうしよう。
終わらせないようにしないとね。
ずっと、赤いままにしないとね。
もう、進まなくてもいいのかな。
進もうにも、足動かないや。
よし、これで大丈夫。
【今日の心模様】
心は粘土でも紙でもない。
それこそ、綺麗な雪原のような。
嫌なことがあって嬉しいことがあって。
悲しいことがあって幸せなことがあって。
それが形をもって雪を汚して。
嬉しいこと、幸せなことがあって、
雪が降って、積もって元通り?
雪を汚して形を成して模様を写して、
それは、雪が降るよりも早く。
溶けて降って積もって汚して。
嫌なことも嬉しいこともあるけれど、
人間というものは嫌なことばかりに目がいく。
それだから、人間と言うのかもしれないし、
そんなんだから生きづらいのかもしれない。
心模様は今日だけ写せるほど綺麗じゃない。
昨日の分と今までの分が重なってるから、
模様というより歪で幼稚なラクガキみたいな。
綺麗な心を見せたいから幸せだと嘘をつく。
大丈夫、今日も僕らは幸せだ。
【雫】
雨が下におちる。
アスファルトにできた水たまりに
おちた雫がはねて静かに波紋をつくる。
雨が下におちる。
君が嫌いだなんて言うから
下手に拭った手に染みをつくる。
雨が下におちる。
皺だらけの手から零れていく。
産まれたあの日と重なって広がって。
雨が下におちた。
冷んやりとした病室で無機質な機械音が響く。
ついに、雨は止むことはなかった。
『無色の世界』
無色とは何を持ってして無と云うのだろうか。
なんの色にも染まっていない状態。
水の中から眺める水面の反射のように光を感じ。
日陰の中の冷んやりとした暗さから影を感じる。
視覚的情報から色を感じることができないというのは
同時に何も見えないということである。
赤も青もその狭間の少しの紫も見えない無色の世界。
色の輪郭を捉えられず、
ただ光と影のみを享受する他ならない。
無色とは。
物体に色がついていない状態や、彩度がない状態。
ぼくらの世界は色ありきで成り立っている。
色が失われた無色の世界は、ただ漠然と──
恐怖のみを残すだろう。