~友情~
今まで共に助け合って過ごしてきた
アイツが俺を守れば
俺もアイツを守った
熱い友情がそこにあったはず
しかし、アイツは言ったんだ
「お前、パンツ逆に履いてね?」
ショックだった
アイツに指摘されるなんて
クラウン・アネモネは
もっと堂々と履いてるっての
その日、アイツとケンカし、決別
家も引き払った
今日から新しい友人と
新たな友情を育むのだ
「初めまして、今日から
こちらのイソギンチャクに住む
カクレクマノミです」
~花咲いて~
花咲いて 花落ちて
実なって 実落ちて
木枯らし 吹いて
葉落ちて 何もない
何もない けれど
とくとく 流れてる
命のみず 途切れずに
これ迄も これからも
~もしもタイムマシンがあったなら~
あっても使わないので
別にどうしもしない
過去の心残りをいくら消しても
別の問題は発生するだろうし
未来の出来事をコントロールしても
思うものが手に入るとは限らないだろう
まぁ携帯を失くした時には便利かな
~今一番欲しいもの~
心のゆとり
お隣さんの騒がしさも
寝たい夜のバイクの爆音も
出掛ける日に限って悪い天気も
頼んだ肉野菜定食に肉が
ほとんどないことも
その他もろもろを許せないぐらいの
心の広さなのでゆとりが欲しい
でも、お金があれば、ほぼ解決できるなぁ
~私の名前~
ウマのような体型で
シマウマのような模様があり
キリンのような長い舌を持つ
私は誰でしょう
答えは…
私は私
人間がつけた学名とか名前なんて
知ったこっちゃないよ
~視線の先には~
あれが良かった
此処では なかなかお目にかかれない
レア物だった
そのために、わざわざ走って来たのに
この数日、それを楽しみにしていた
それなのに、すでに終わっていた
あと少しで手をすり抜けて掴めなかった
見つめる先には
今日の日替わり定食 肉増し酢豚セット
最後の一つを隣のふくよかなおじさんが
美味しそうに食べている
~私だけ~
こんなに家があって
あんなに明かりが灯ってる
一つ一つに人が住み
全然別の人生を送ってる
だけど 私だけ そこにいない
それらを遠くから見てる
なんとなく気になりながら
それらに近づくことなく
遠くから
~遠い日の記憶~
自分の一番古い記憶は何だろう
写真の風景や家族から聞いた話が混じって
初めての記憶はどれだか分からない
分からないけど
一番に近い遠い日の記憶はある
ベランダから見た建物とか
大好きだったお菓子とか
いつも歩いていた緑道とか
今も好きなもの 気になるものが
同じだと気づいたら
ちょっと くすぐったくなった
~空を見上げて心に浮かんだこと~
通り雨を避けて雨宿り
もう大丈夫と外に出た途端
また降りだすのはやめて欲しい
まぁ、話のネタになるから
いいんだけど
いいんだけど もうちょい待って
そんなに降らないで
~一件のLINE~
「今日会える?」
それだけ打つのにドキドキした
「また明日」
それだけの返信でも嬉しかった
なのに
「終わりにしよう」
それだけで
終わるの?
~これまでずっと~
ご飯もショッピングも映画も 私の誘いに
あなたは 笑って 頷くだけ
だから
これからもずっと
そんなふうだと思っていた
それでも十分しあわせだったから
~優越感、劣等感~
あいつの隣にいると感じる
あいつの甘い笑い声、はにかんだ表情、
照れ隠しの仕草
それらを独り占めに出来る優越感
あいつの明るい性格、整った容姿、
人に好かれる振る舞い
それらと比べられているような劣等感
~手を取り合って~
飯も買い物も映画も あいつの誘いに
これまで 頷くだけだった
いつも あいつが 手を引いてくれた
あいつはいつも正しくて間違わないって
思っていた
でも、あいつだって
LINE打つのに悩んで
既読スルーにへこんで
変な返信にモヤモヤする
そんな当たり前のことに気づいたから
だから、これからは
間違ったとしても 二人で
あいつと手を取り合って生きていきたい
~終わりにしよう~
さんざん悩んでLINEを送った
いつも早いあいつからの返信は
なかなか来なかった
「お別れってこと?」
「?」
「だって、終わりにしようって」
「誤変換。尾張」
温泉でも行こう、どこがいい?って
聞かれたから、珍しく自分で調べて
意見を述べた結果が、危うく破局だった。
今でも良くからかわれる。
うちの鉄板のネタだ。
「パパのLINE、誤変換が多すぎ」
「住まん」
「絶対ふざけてるよね」
「剃んな琴な伊予」