竜胆

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7/28/2024, 10:53:07 PM

お祭囃子が遠くに聞こえる。
開け放った大窓から、賑やかな人の声。

7/27/2024, 11:14:36 AM

神様が舞い降りてきて、こう言った。

「あなた、不運ですねぇ〜笑」
「…は?」

私は生前、どうやら不運だったらしい。
確かに孤児院に売られてから幾数年、
いつの間にか実験体にスパイに男娼までこなし。
この世の底辺を全て見てきた。

しかし、地獄の底で
たくさんの家族ができた。
この世で一番幸せな瞬間だった。
まぁ、殺されてしまったが。

私一人になり、何十年。
老衰で私は死んだ。
ようやく人生が終わると喜んだのもつかの間、
転生の順番待ちをしていたら、
神様が降ってきた。
失礼な文言とともに。

そしてやってしまった、
神への対応とは思えない、
絶対零度の返事。
私のことを見て、
やだなぁ怒んないでくださいよ、
ちゃんと次は幸福をお届けしますんで、と、
神は続けた。

「なんてったって、あなたご家族が居たでしょう?
彼らから伝言がありまして。
「生まれ変わったら、僕たちを探してね!」
だそうです。」
「????」
「だーかーらー、
あなたのご家族の来世を人間、
全員同じ世界線にしてあげてたんです。」
「…それって、もしかして」
「そうです!あなたはご家族にまた会えるのです!」

7/23/2024, 12:57:34 AM

もしもタイムマシンがあったなら、
いつに戻るだろう。

何故か未来に行くという選択肢が思いつかない。
過去に未練があるからだろうか。
それとも後悔?

後悔なら沢山してきた。
戻りたい瞬間も数多くある。
でもきっと。
私はタイムマシンを使わないだろう。
この後悔を抱いたまま。

7/15/2024, 9:28:03 AM

手を取りあって、
僕たちは脱走した。

第二次世界大戦の真っ只中、
子供の人権なんて無いに等しかった。

大人の人権だって、
国に都合がいいように消し飛ぶ時代だ。
そうなれば子供のことを
守ってくれる人は居なくなる。

大量の孤児が生まれた。
両親が戦争で死んだ子、
派閥争いで家族が消された子、
戦争によって倫理の底が抜かれた後
実験のために買われる子、
孤児院に流れ着いた子。

様々な孤児が
孤児院に集まった。

どうすればよかったのだろう、

7/13/2024, 9:26:04 AM

これまでずっと歩いてきた。
後ろを振り返らずに。
この5時間ぐらい。



歩き続けるのは、
後ろに私を追う何かがいるからである。

何かは分からない。
なんなら今どこを歩いているのかも分からない。
夜中にトイレを出たら、この道が続いていた。
そして振り返るとトイレは消えていた。なんで。

ズルズル何かを引きずる音がする。
具体的に言うと、
麻袋に入れた湿っぽい塊が引きずられている。
そして後ろにいるやつはそれを気にもしていない。
1度も止まらないからだ。

ホラー耐性0の私には非常に辛い状況。
しかし、各種武術で鍛えられたメンタルは
悲鳴をあげることも許さなかった。
ビビったことがバレると、
師匠達にドヤされるに違いない。
そして更なる訓練を課されるに違いない。
それは本当に嫌だ。

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