にわかなオタク MZRYA

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6/3/2024, 10:20:05 AM

失恋


戦場で、硝煙の中に見える薄いグレーの瞳。
見なかったふりをした。
その瞳はゆらゆらと彷徨い歩いているようだった。
何かを探すかのように。
銃声が、聞こえたかもしれない声を掻き消す。
ドカン、と後ろから大きな音がした。
仲間の身体と土と武器とその他諸々が飛んでくる。
後ろは死地だ。
前を向け。
前を向け。
前を向け。
光と熱が、体を焦がす。
感じた鼓動は、何だったか。

6/2/2024, 11:41:45 AM

正直


もくもくと黒い煙が浮き立つ。
美しい国の面影は消えた。
だが、ここに掃除屋の少年が居る。
彼はどこか達観しているようだ。
でも、それでいても、自分の気持には正直だ。
彼はこの国をもう一度、美しい国にすることを誓った。
たとい何世代も続こうとも。
霧を払い、煙を払い、煤だらけになりながら闘う。
彼は、最も愚かな男。
でも、正直者。

6/1/2024, 10:30:56 PM

梅雨


したり、したり、と嫌ぁな雨が降ってる。
窮屈な洞窟の中揺ら揺ら頭を揺り動かす。
鼻唄はいつの間にか、仲間たちとの合唱へ変わった。
閉塞的な洞窟の中は高揚した空気に包まれた。
湿気た空気が熱気で上書きされる。
楽しげな唄い声と拍を執る指の音。
寝覚めの悪いドラゴンも一緒だ。
洞窟の囚人たちはいつまでも。
梅雨はいつまでも。
雨は止まない。

5/30/2024, 12:19:29 PM

終わりなき旅


暗い廊下にコツリ、コツリ、と足音が響く。
足音はゆっくりと。でも、歩みは止まらず。
背中に背負われている少女は未だ目を開けず。
息も乱さず、足音崩さず、ゆっくりと歩みを進めていく。
先は見えない。
終わりなどない。
終着点は、己の死のみ。
暗い廊下にコツリ、コツリ、と足音が響く。
これは、終わり無き旅路。

虚無を進む。

5/26/2024, 11:52:14 AM

月に願いを


生まれて初めて見た月はきれいなまん丸お月さまでした。
濡れた体を拭かれているとき、カーテンがひらひらと翻ったんです。
私の記憶の中では月にはうさぎが住んでいるそうです。
流れ星にお願い事を込めると月に届いて、うさぎたちがそのお願い事を叶えるお手伝いをするんだそうです。
私はまだ接続が不安定なので音が聞こえませんでした。
だから私は一番最初にお願いしました。

コエがほしいです。

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