たとえ間違いだったとしても
呻き声が無骨なコンクリートに反響して
息が詰まりそうなほど暑い空気が脳を這う
苦しそう。
でも、もう我慢出来ないんだ。
たとえこれが倫理的にアウトでも
周りから見て引かれるようなことでも
自分にとってはコレが最善なの。
もっとあなたの声が聞きたくて
口元を覆う布を外す。
憔悴しきった様子で
私に問いかけた。
「───、──────」
夢見る心
「君は、夢を見たことは有るかい?」
眼の前の熊のような体に
ファンシーな色をした生物はそう言った。
「……なんで?」
「なんでって!そんなの決まってるよ。
僕らも夢が見たいからさ!」
ぬいぐるみのような手足を"もそもそ"と動かし
開ききらない瞼を動かしている。
「一応聞くんだけどさ、お前は"あの"獏なんだろ?」
現れると悪夢を食べてくれる。
でも、"この"獏はいい夢を食べていく。
そういう噂。
「?"どの"獏だい?それより、僕の質問に答えてよ。」
「夢を見たこと有るかってやつ?」
枕元に居座る"それ"はいつでも
お前の夢を食べてやるとでも言いたげだ。
「なんで答えなきゃいけないの?」
「言ったじゃないか、僕も夢が見たいんだ。」
NPCのように同じ言葉を繰り返す。
まるでゲームの世界だ。コレも夢?
「もう一度言うね、"君は"、夢を見たことは有るかい?」
誰よりも、ずっと
"努力の男"
巷じゃそう言われている。
眉目秀麗な彼は
今日も脇目もふらずに大剣を振るう。
聞けば小さい頃の憧れだった
騎士団に入れたんだとか。
もともと身体が弱かったくせに
いつの間にかあんな偉業を成し遂げるまでに成長して
でもあいつは、何処か遠くを見やってる。
周りが何度となく
褒めたり、貶したりしてみても
いつも何処か遠くを見てるんだ。
多分、誰よりもずっと
情に厚いだけの男なんだろう。
沈む夕日
例えば、君の目が好きだ。
真っ赤に燃えてるように見えて
本当に"触れたら火傷"するかもしれない。
ここは地下だし、例えるものは
こんな安っぽい炎しか思いつかないね。
でも見て、空と雲と太陽、それから月。
うちにあった白石で書いてきたの
本で読んだよ、太陽は眩しいから白いけど
時間が経つと赤くなって海に潜るんだって。
だから多分、君の目は炎と太陽の色だ。
君の目を見つめると
いつかの君が、差し伸べた手を
僕は取らずにとっておきたかった。
それは、初めて君が
僕をちゃんと見てくれたって
ちゃんと思えたことだったから。
君はいつも目を逸らす。
ブロンドのまつげに縁取られた細い目
黒いパーカーの袖から見える白い手
全部が君で
世界も君だ。
閉じることのなくなった
君の目を見つめると、なんだか
とても