Y.Tone

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2/17/2026, 5:50:02 AM

きっと、永遠の片思い。
出会えた瞬間から、分かっていたんだ。
キミをシアワセにできるのはボクじゃない。
だけどボクは、誰よりもキミのシアワセを願っている。

これは強がりなんかじゃない。
だって、ほんの一瞬、
ボクに微笑んでくれるだけで、
その手がボクの小指に触れるだけで、
ボクの心の中はこんなにも温かく満たされる。

だから、
誰よりも誰よりも、
キミがシアワセになることを願っている。

どうでもいいが、さっきから、
となりで最愛の人が笑っている。
ケタケタと笑っている。

いいさ、笑えばいいさ。
誰よりも我が娘の幸せを願う一途なパパたちの
よく聞く話だねって、笑えばいいさ。

【誰よりも】

2/16/2026, 6:00:50 AM

「今日のラジオテーマは、
『10年後の私から届いた手紙』です。

さっき、放送が始まる前の打ち合わせで、
スタッフとも話していたんだけど、
どうした今日のラジオテーマ、
急にファンタジー?って感じだよね。

え、私の場合?
うーん、そもそも、10年後の私から手紙が届いたとしても信じないかな。

これってさ、少し違う言い方をすると、
今の私が10年前の私に宛てて手紙を書くってことだよね。
たぶん、10年前の私も信じないと思う。

だから、そうだな、もし手紙を書くとしたら、
10年後の私から、ということは隠すかな。

私じゃない、他の誰かの言葉の方が
心に届く場合もあるから。
どんなことを手紙に書くのかって?
うーん、そうだね、、うん。

焦らなくても大丈夫ってことは伝えたいかな。
悩んで、苦しくて、立ち止まったとしても大丈夫。
立ち止まることは悪いことじゃない。
夢なんてなくても、何とかなる。
悩んで、もがいて、苦しいと感じてしまう時間も、
ちゃんと10年後の私の糧になっているから。
だから、大丈夫。
焦らなくて、大丈夫……」

ちょうど参考書の31ページ目の問題に取りかかろうとした瞬間だった。
いつもと違う放送局にチューニングを合わせていたことに気づかず、不意に女性の声がすーっと耳から入り込んできた。

手にしていたシャーペンを机に置き、両腕を頭上へとグッーと伸ばす。
その手を胸にあてて、深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。

よしっ。
髪を結び直して、カチカチっとシャーペンを2回ノックしたのを合図に、再び参考書の問題に向き合う。

ラジオからは私の知らないアーティスト名の曲が流れて始めていた。


【10年後の私から届いた手紙】

2/15/2026, 7:28:18 AM

バレンタイン前夜、
チョコレートが並ぶ棚には脇目も振らず、地下の生鮮売り場へと向かう。

うちの彼氏はチョコレートが苦手だ。
苦手というか食べられない。

出会ったばかりの頃、「2月が憂鬱」とぼやく理由をあまりよく分かっていなかった。
チョコレートが食べられないということをちゃんと知ったのは、去年のバレンタイン直前だった。

いや、マジで焦った。
用意していたチョコレートは自分で食べればいいが、チョコレートの代わりって何?
何も思いつかないまま、気がついたら、いつも使っているスーパーの生鮮売り場に立っていた。

「今年のバレンタイン、赤いタコはいかがですか?」

いやいや、バレンタインにタコってどうなのよ!
繰り返しタコをアピールしている音声に向かって、思わずツッコミを入れていた。
でも最終的にそのタコを使ってカルパッチョを作った。
これが、意外とウケた。

そして、今年のバレンタイン。
いろいろと考え抜いた結果、いつもの生鮮売り場へとやってきた。

「今年のバレンタイン、明太子なんていかがですか?」

赤い食べ物なら何でもいいのかいっ!
半ば呆れながらも、明太子をしっかりと選んで、そっとカゴに入れた。

明太子パスタを作ってあげよう。
あとは、この値段にしては美味しいと噂のコンビニの赤ワインも買っていこう。


【バレンタイン】

2/14/2026, 5:25:46 AM

待ってあげてもいいかな、
出かける準備は出来ているから。

「『ちょっと待ってて』とそなたは申したか?」
「そ、そなた?」
「その『ちょっと』とはいかほどであろうぞ?」
「ぞ?えっ、いかほどって?」

「われを待たせるというのに、『ちょっと』とは何事だと申しておる!」
「へっ⁈えっ、えーっと、時間ってこと?10分?」
「10分とな‼︎‼︎」
「ぐえっ⁉︎、いや、6分くらい、かな?」

「『くらい』とは何たることだ!由々しき事態であるぞ!」
「急ぎ準備します‼︎すぐします‼︎」

さっき時間がなくて仕方なく諦めたグロスをポーチから取り出し、おもむろにリップに重ねる。

待ってあげてもいいよ、
出かける準備は出来ているから。

【待ってて】

2/13/2026, 5:58:20 AM

「まま だいすき」
画用紙に描かれた似顔絵の横に、アクロバティックな動きを見せた文字が添えられている。

「ま」の最後のまるっとしたところが思いっきり反転している。
「い」は「す」を突き抜けちゃっているし、
「き」なんてとんでもない場所に着地している。

毎日欠かさず言葉で伝えてくれているけれど、その手で文字を書いて、伝えようとしてくれたことが、こんなにもうれしいなんて知らなかった。

キミのママへの愛情はめいっぱい伝わっているよ。
「ありがとう、ママも大好きだよ」


『伝えたい』

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