君と最後に会った日は中学の卒業式
「またね」は言えなかった
「またね」って言いたかった
君と僕は反対側の人間
君は色んな人に人見知りをせずに明るく話し掛けられる
僕はすぐに人見知りをして慣れないと上手く喋れない
誰にでも話し掛けられる君に憧れてたよ
口では悪口しか言ってなかったけど
ほんとは友達としては、好きだよ
君と最後に会った日は、心の中でそんな事を言いながら
雨の中、一人で歩いていた
# 45
その人は繊細だった
花のように
触れたら壊れてしまいそうで
そのまま消えてしまいそうで
触れられない
手を前に出しても躊躇って
手を引っ込める
それの繰り返し
繊細な花が
いや、女の子が
壊れないように
周りから守る
其れが傍にいた僕の役目だった
# 44
一年後......みんなは当たり前のように話す
僕には遠い未来のように感じる
だって、人はいつ死ぬか解らないから
今、死んでしまうかもしれない
そしたら、一年後なんて存在しない
だってそうでしょ?
この当たり前の日々が
いつまで続くのか解らないのだから
こうやって考えながら
一年後なんてことを考えず
いつ、どうやって死のうか
なんてことを、いつも考えている
一年後、みんな生きているといいね
でも..............僕は早く死にたいよ
この酸化した世界から覚めさせてくれ
# 43
う〜ん、駄目な記憶しかない!
冷蔵庫のもの勝手に食べたり〜
すぐコケて怪我したり〜
喧嘩したり〜
怒られたり〜
入院したり〜
泣いたり〜
..............あれ?嫌な思いでしかなくねぇか
今の方が充実してて正直楽しいんだが
やばいな、うん、やばくねぇか
嫌な思いでしかないとか
施設なら大きくなってから楽しいのが当たり前!
お小遣い増えてるし!
普通じゃないけど小遣い面では大好きだよ!
お小遣いだけ!ね!
これ読んでる普通の人も施設の子供もわかるかい?
お金って大事だよねぇ
僕のいる施設の子供はみんな自由気ままだし
職員に反抗?
超日常!
みんな、自分のやりたいことしまくってるんだぁ!
あれ?またお題からズレた?
まぁ、いっかぁ!じゃあねぇ!
# 42
いってきます
いってらっしゃい
おはよう
ただいま
おかえり
おやすみ
僕はこの言葉を発する事が無い
施設の子供は皆微妙に尖ってるからね
でも、言わないんだったら此方から言おうと思った
言われる立場
言う立場
僕はその言う立場になりたいと思った
皆と同じ日常を手に入れるために
# 41