『ボクの姉さんは、太陽のような人です。
なぜなら、いつもボクとテイちゃん(兄)に
くっついて、温めてくれるからです。
あと、フジミなのに前向きで明るくて、
恋人が生まれ変わって自分の弟(テイちゃん)に
なったことを喜ぶ、心の強い人です。
ボクは太陽のような姉さんが大好きです。』
………………!!っあっぶねぇぇ!
テイちゃんが押し入れ整頓してる横で、姉さんが
オレが小学生の時書いた作文読んでるぅぅ!
あれ確か、授業参観で読まされる事想定して、
良いことしか書いてないやつ……。
姉さんがこっち見て、親指立てながら、
格好つけた笑顔でウンウン頷いてる…。
よくやった、小学生のオレ。
「おめぇも、あん頃は可愛がったんけなぁ」
コタツから弟(兄)を座椅子代わりにして顔だけ
出しながらグミを頬張りテレビを観ている姉が、
赤ちゃんの映像に目を細めて言った。
昔、兄と姉は山中でハイハイしているオレを
発見した。その時最初に抱き上げたのは、意外にも姉だった、この母性とは果てしなく遠い姉が。
聞いた話では、姉は大昔、歩けない体で、手の力だけで山の中を何年も彷徨っていたらしい。
姉さん、自分とオレを重ねたんかな…。
ふと、テイちゃん(兄)と目が合う、優しく微笑むテイちゃん…嬉しくなっちゃうオレ。その時、
姉さんがコタツの中で足技を掛けてきた!
コタツに引きずり込まれるオレ…するとすぐに姉さんの足の力が弛んだ。
テイちゃんが助けてくれました♡
目が覚めて、横に目を動かした瞬間思った。
今日というか今、この時間っ早く過ぎて下さい。
隣に姉さんが一人で寝ています。マズイです。
何がマズイって、テイちゃん(兄)がいないから!
姉さんは寝起きの時、テイちゃんが傍に居ないと、
狂った様に俺に八つ当たりしてきます。
おそらくテイちゃんは村の婆ちゃん達に誘われて
東京観光にでも行ったのでしょう、
となると3時位まで帰って来ない…。
こないだ目覚めた時は真冬の湖に投げられたし。
…よし酒爺ちゃん所に避難しよう。
そぅ~っと……“ガサリ”。
姉さんが寝ながら食べたメープルハニークッキー
の空袋を踏んだ………。
紅き地獄の門が、思ったより優しく開いた。