大好きな君に、心から幸せになってほしい。

　君を幸せにできるのが私なら、どんなに嬉しいかわからない。


　残念ながらそれは私じゃないようだ。

　

　はまぐりのお吸い物にちらし寿司。それに雛霰。

　雛人形を飾って迎えるこの日がなにを祝うものか。そんなのは割とどうでもいい。

　私は、春の気を感じるこの祭りがなんとなく好きだ。

　たった一つの希望。

　もしも、そんな状況に追い込まれたなら。

　それに縋る勇気を持ちたいと心から思う。

　思っていることを全部伝えてしまいたい。

　だけど不快にさせることが怖くて、なにも言えない。

　匿名ですら言いたいことを吐き出せない私は、一体このたくさんの想いを、どこに吐き出せばいいのだろう。

　毎朝列車に乗って、窓を開けて感じる風が、最近春を帯びてきた。

　この列車に毎日乗るのももう終わり。