既読のつかないメッセージ


ある投稿にメッセージを送った。
返事があるかスタンプがくるか。

まだ何も反応がない。
余計なこと言ったかな……。
思い余って送ってしまったが
今さら削除するのも違うかと
グルグルと考えてしまった。
自分のメッセージを何度も読み返して
差し障りのない文言で伝えたつもり。
伝えるって難しいな。
伝わるって嬉しいな。

もしも世界が終わるなら


世界が終わるというなら
今を足掻く必要もなく
今を大事にできそうだ。
君を置いていく心配も
君が先にいく不安もなく
最後まで手をつないでいよう。
大丈夫だ。

靴紐


蝶々結びの輪っか同士を
もう一度クロスに引き抜く。
そうしたら靴紐はほどけない。
学生の頃ずっとそうしていた。
そして我が子にも引き継ぐ。
我が子の靴紐はほどけない。
これでヨシ。

雨と君


雨はキライ。
キライじゃないけど色々面倒。
洗濯物が乾かない。
自転車だと危なくて大変。

でも何より、雨は君にとって大敵。
ただでさえ不調の君が
もっと不調になってしまう。
それでも外出できるようにと
一目惚れした青い傘を買った。

君は、雨が降るからと言って
それを手に持ち出掛けていった。

誰もいない教室


高校に入学したけれど
通学できなかった甥っ子。
退学することを決めて
その手続きをするため
高校へ出向いた。

応接室で話をした後に
最後にと教室を覗きに行く。
どんな想いでそこに居たのか。
しばらくすると、「誰もいなかった」
と言って戻って来た。

後になって、「あの時、頑張って
学校行けばよかった」と言った。
あの時はどうしても行けなかった
んだよ。ただ、今はそう思えて
学校がキライな場所になってなくて
良かったと、改めて思った。

誰もいない教室で、
ちゃんとサヨナラしてこれたんだね。