小さな愛


小さな愛は無くしやすく
傷が付いていてもわからない。
小さくても愛なのは間違いなく
それを奥に仕舞っていたら
元気がなくなっていた。
おひさまに当たらないと
ダメだったかな。

何処にも行かないよ


たぶんずっと此処にいる。
貴女が此処を離れても
また帰ってこれるように。
だから安心して
行ってらっしゃい。

君の背中を追って


甘え坊の幼子は、いつも引っ付き虫だった。
「抱っこして」
「ママ、一緒に」
一時期だけ、遊園地やホームセンターで、ワザと逃亡していた事がある。私が目を離さないことをいいことに、トコトコどんどん進んで行く。時々振り返り、ちゃんと追ってくるかを確認する。ワザと追わずに距離をとると、スネて私の胸に戻って来た。
こういうのも成長のひとつなのだろう。
君の背中を追いながら、少しの喜びと心配を感じていた。

好き、嫌い、普通


好き過ぎるといつか飽きる。
嫌いだと、最初から避ける。
普通だと、無難に永く向き合えるはず。
普通がいい。でも普通って難しい。

雨の香り、涙の跡


雨は降っていないはずなのに
地面がカビ臭い。
泣いていないはずなのに
頬に干上がった筋がある。
知らないだけで
雨は降ったのだろうか。
知らないうちに
泣いていたのだろうか。
どんよりとした空気が
そこに残っていた。