時を告げる
夜中にやたらと響く秒針の音は
身動きできず止まっている私を
置いてけぼりにして進んで行く。
心音のような安定の秒針の音は
まだ子宮に守られた赤子の感覚になる。
不安と安心は表裏一体だと
全ては過去になって行くと
冷静沈着に時を告げゆく。
些細なことでも
おはよう、と朝起きてきた。
ご飯をしっかり食べた。
行って来ます、と学校へ行った。
学校じゃなくても外出できた。
ただいま、と元気に帰って来た。
お風呂に入った。
笑顔で話をしてくれた。
明日を楽しみにしてくれた。
些細なことでも
当たり前じゃなくなると
ひとつひとつが喜びになる。
寝ていたはずの娘から
出勤途中に電話があった。
「行ってらっしゃい。頑張ってね。」
身体が軽くなって
それだけで頑張れる。
開けないLINE
目と鼻の先どころか二人とも自宅に居て
部屋は違えども互いの姿が見える。
ケータイをずっとさわっているのに
私のLINEがなかなか既読にならない。
急ぎじゃないからいいけど
いいけど早く見てよ。
喜ぶと思って送ったLINE。
喜ぶ顔が見たくて送ったLINE。
既読スルーどころかいつまでも未読で
送信取消して、なかったことにスルー。
余談_φ(・_・
なんだかなぁ。
自分で気分を頭の上に持ち上げてみては
疲れて床に下ろしてしまった感じ。
床に下ろした気分をまた持ち上げるのは
よりいっそう重く感じる。
雨に佇む
雨に佇む、一本足の赤いアナタは
少し艶が出て頼もしく見える。
雨に佇む、丸顔の錆びたアナタは
バスが来るまで傍に付き添ってくれる。
雨に佇む、置き忘れられたアナタは
持ち主が戻って来るのを待っている。
雨に佇むアナタは、少し寂しそう。
ただそこで待っている。
やるせない気持ち
いつの間にか足に青タンができている。
お風呂に入るとき、はじめて気付いた。
青タンの部分は確実に腫れていて
軽く押してみると痛かった。
足をぶつけたことに、痛かったことに
青タンができてはじめて気付く。
こうして痛みを与え変色することで
ぶつけたことをやっと実感する。
痛みを感じないと、目に見えないと
人は気をつけないのだ。
仕方ないのかな。