無機質な部屋にいた
色のない時間の概念もないような空間

ある日目の前に扉が現れた
私は恐怖と同時に興味が湧いた

震える体を落ち着かせながら手を伸ばす
「新しい」に出会えるその瞬間を求めて…

積み上げてきたものが無惨にも崩れ去った
俺の手は届かなかった
あの人はどこまでの遠い存在だった

初めから分かってた
今の俺じゃ追いつけないこと
それでも俺は手を伸ばさずにはいられなかった
ここに立っていたいから
だから…

「次は負けないから」

「クリスマスの過ごし方」

テーブルを囲んで君と向かい合う

「今日は気合い入れちゃった」

君との間にはいつもより豪華な料理が並んでいる
チキンにケーキに…

今日はクリスマス、1年のうちで特別の日だ
だから今日くらいは…

「いつもありがとう。大好きだよ」

「イブの夜」

「今夜は2人でケーキ食べようよ」
って君は言ってくれた

ロウソクの火を2人で消して
2人でケーキを2等分

甘いケーキを2人で食べながら
ロウソクに照らされる君が美しくて見とれてたのはナイショの話

「プレゼント」

今日はついに引越しの日だ
だいたいの荷物はトラックに積んである

「あとは…」

君から貰った腕時計を手に取る
君が去年のクリスマスにくれた物だ

「これは、着けておこう」

君が最期にくれた物を身に付けて
僕は君人の思い出の家から1歩踏み出す