「私の名前」
私は私の名前が嫌い
だから、かな
SNS上では仮の名前で通してる
皆に この名前で呼ばれると
私だけど 私じゃないみたいな
別の私が生まれるの
匿名性って便利だなっ、て
皆も 本名隠して
画面の向こう側で
愛を語ったり 友情語ったり
見知らぬ者同士で
匿名性って便利だな、って
そう想ってた
あなたに逢うまでは
いくら あなたが
私の名を呼んだところで
所詮は仮初の自分だもの
ふと、虚しさがこみ上げる
私も あなたの
本当の名を知らないのだ
知りたい 知りたい……
だけど はぐらかされてばかり
名を教えられない理由は何?
あなたも 自分の名前が
嫌いなの?
だったら、私と同じだね
いいよ お互い仮初めの名前で
呼びあおう
そうして
仮初めの恋に堕ちよう
いつか 本物の恋になった時
あなただけに
本当の私の名前を呼ばれたい
私もあなたの本当の名前を
呼びたいのだ
それまでは
仮初めの私の名前のままで
「視線の先には」
視線の先にはいつも貴方がいた
けれども
貴方の視線の先には別の誰かがいた
永遠に絡みあうことのない
視線の先
切なくも甘い
そんな薫りが漂う空間だけが
歪んでみえた
「私だけ」
いつも
一方通行の通行止め
どんなに貴方を愛しても
この想い
伝える事 叶わず
心の中の叫びは
風となり
吹き溜まりで
私だけが
渦巻いている
「遠い日の記憶」
前を見れば
足跡さえなかった
それが 不安になって
ふと後ろを見る
これまでの足跡を
眼で追うと
霧の向こうに
色づいた景色が
ぼやけて見える
何故か安心する
それは これまで辿ってきた
遠い日の記憶
これまでの僕が
僕になった 遠い日の記憶
生きて来た証は
後ろを振り返れば
ちゃんと在るわけで
僕は不安に駆られる必要は
全然なかった
僕は
遠い日の記憶と共に
これからも歩んでゆく
真っ白い未来へと
いつか この日も
遠い日の記憶として
僕の足跡に残るだろう
「空を見上げて心に浮かんだこと」
空は心模様だと
空は繋がっている、だとも
言われている
ならば 今
この瞳に映る蒼き空を見て
清々しさよりも
哀しみに似た感情を抱くのは
遠い地の貴方の心を
そっと私に
報せてくれてるのだろうか
空を見上げて心に浮かんだこと
それは いつだって
貴方の事
いつだって空を通して
貴方の心を感じて
哀しくなったり……
嬉しくなったり……
空を見上げて心に浮かんだこと
それは いつだって
貴方の心模様
貴方と心 繋がる空を感じて