甘露

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8/18/2024, 10:13:27 AM

鏡面に疲れた自分を映してる 耳を塞いで目を閉じている

「鏡」




隣の席で妙齢の女性同士が話してる。
持て余した炭酸ドリンクをどうしたものかと見つめつつ、
ついつい聞き耳を立ててしまう。


隣の彼女は、真っ直ぐに背筋を伸ばして、美しい所作でケーキを口に運びつつ、スッパリと言い放つ。

「やっぱ、ほうれい線にだけはヒアルロン酸入れるわ」

「やっぱりやるん?」
「年齢には勝てんわ」

そんな会話が続き、ポツリと一言


「自分の事を、好きでいたいやん」
と、言葉を続ける。


こんなに透き通るような佇まいの彼女でも、鏡の前では落ち込んだり、あれこれと自分に注文をつけたりするのだろうか。

カガミウツシというのは、存外ありのままを映してはくれないようだ。


「鏡」

8/17/2024, 6:04:54 AM

誇らしく今夜はアイスを食べるのさ だって笑ってお別れしたもの

「誇らしさ」



友の死を告げる電話の後ろでは 月が零れて さざ波が鳴る

「夜の海」

8/7/2024, 5:24:39 AM

玄関先にセミの死骸が落ちていた。太陽が嫌いになったあの日の朝に。


「太陽」

8/5/2024, 2:21:59 PM

一億の星の奏でる鐘の音 ハイボールの中で聴こえる


「鐘の音」

8/3/2024, 9:18:14 AM

母と子の役が其処では入れ替わり ハーゲンダッツを食べさせた夏

「病室」

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