たとえ間違えだったとしても
あなたに私の気持ちを伝えたことはありません。
帰り道を2人で一緒に歩いてました。
あなたと話すのはとても楽しくて幸せだった。
あなたに好きな人が出来ました。
私にだけと教えてくれた。
協力してくれと。
家に帰った途端、涙が溢れました。
これほど好きになった人はいませんでした。
好きな人のことで涙したのも初めてだった。
私とあなたは友人でした。
何度も気持ちを伝えようかと考えました。
あなたはきっと受け止めてくれない。
あなたに軽蔑されそうで。
この関係が崩れそうで奪われそうで。
やっぱり伝えたくなかった。
後退しないが前進もしない関係を保ちたかった。
それしかなかった。
自分で放った言葉が身に響いて
苦しくて息が出来ない。
何をしてもかき消せない。
振りまく笑顔はまるでジョーカー。
ブンブンうるさい蜂から逃げている。
いつか針で刺されてしまうのではないかと。
だから足も腕も切り捨てた。
私には何もない。
逃げられない。
とある日曜日の午後7時。
友人から飲みに誘われた。
その友人とは昔からの付き合いで私も暇していたので誘いにのった。
焼肉屋につくとさっそく
「最近よー嫁がずっとイライラしててよー。」
と奥さんについて愚痴りだした。
しばらく愚痴っているとだんだん酒もまわっていき最終的には惚気話になっていた。
正直羨ましかった。
特定の人がいない私にとって友人と奥さんの話は胸に刺さった。
街ゆく人々を見ていると様々な人がいることに気づかされる。
お昼で忙しいカフェの店員。
死にそうな顔をして歩いているサラリーマン。
子供を泣き止ませようと頑張る母。
駅のホームで寝ている人。
少しだけホッとしてしまった。
君と出会ってもう10年。
愛し合い、時には喧嘩もした。
世界は僕達を中心にまわってはくれない。
おかげで君がよく見えた。
二人ぼっちじゃないおかげで君を知れたし君も僕を知れたと思う。
友人が茶化してくれたからかも知れない。
居酒屋の大将のおかげかも知れない。
仕事が上手くいかないからかも知れない。
君と私の
二人ぼっちはどこか寂しい。
彼女が姿を消した。
文字通り。
連絡すら取れない。
友人と海に出かけた。
久しぶりに外に出た。
全く外出しない私を気にかけて海に誘ってくれた。
友人と車に乗って静岡まで行った。
砂浜が見え水着に着替えた。
砂はサラサラしていた。
海は太陽はキラキラと輝いていたんだ。
暗闇でコンビニで買ったビールを飲んでいた。
テレビを見てた。
インターホンが鳴った。
玄関を開けた。
残酷な太陽の姿が見えた。