なぁ、衣替えと模様替えって何が違うん?
はぁ?ほんなん、全然ちゃうやん。衣替えは、服を季節によって変えんねん。ほんで、模様替えは部屋の家具をこれまた季節に合わせて変えんねん。服と、家具の色合わせるとちょー可愛いんやぞ。こんなんもわからんとか、ホンマに阿呆やなぁ笑笑
そう応えてくれた、貴方はもう居ない。阿呆って言いながら優しく笑った顔が大好きだった。
今日がやまばです。気持ちをかためておいてください。
そう言われたあの日は、10月。丁度、衣替えと模様替えの季節だった。
制服も部屋も冬仕様にしたからね、安心して退院してね。って伝えた次の日だった。
おぉ!!ちゃんと色あわせたか?新しく借りた部屋汚すなよ笑!!って優しく笑ってくれたのに。来てくれなかったね。
このカーディガンね、新しく買ったソファの水色に合わせてみたんだよ、ねぇ、もう1着買ったんだよ、お揃いするんでしょ、、、、、
虚しくちった、墓石に添えられた花は、冬の終わりと、春のおとずれを知らせ、
また、衣替えと模様替えの季節をもたらす。
「誰も居ない模様替え」
始まりはいつも、向こうからのおはよう
戦闘服という名の制服を着て、髪を結って
存在証明の香水をふって。
どこから見ても可愛い自分を作って学校に行く。私から行かなくても、来てくれるからただじっと声が聞こえるのを待つ。私だけ1人。不安がサイレンのように心の中で鳴り響く。
「おはよう」
雨上がりの差し光のごとく、降り注ぐ私への挨拶が聞こえる。サイレンが止まる。やっと安心できる。良かった、来てくれて。そんな気持ちを込めながら挨拶を返す。
そんな毎日
が、続くほど私は人間関係において長けてなかった。
たった1回の口論から向こうからの挨拶が止まってしまった。ずっと鳴り響くサイレンが耳の底から離れない。抱いた怒りはやがて、重い重い不安と恐怖に変わる。
思えばいつもそうだ。話しかけてもらうのが当たり前、こっちからは絶対に話しかけない。そうやって、幾度となく友達を失ってきた。その度に、向こうが悪い、私は悪くないといらない壁を作って。自分を守って。
私は一生このままでいいのだろうか。
いつかきっと、本当に1人になった時過去の自分までも嫌いになってしまったら、、、
今、あの子に話しかけるのと、自分すらも嫌ってしまうのだったら。私は話しかけて、自分を愛せるようになりたい。
勇気をだして、話しかけた。
「お、おはよう、」
今度は、返事を待つ番。
始まりはいつも、私からのおはよう。
忘れたい
楽しかった毎日とか、その時気に入ってた服とか、部活の時間とか。
4時から6時までの部活の時間。あの人は今頑張ってるんだろうなぁとか、ひとりで帰ってるのかな、暗いの怖いって言ってたけど、大丈夫かなぁ、とか。
自分から突き放したくせにまだ未練タラタラで。
きっかけさえあれば、未だにずっと考えてしまう。
あの人だけだった。気を使わなくてよかった相手は。
今、あの人を欲してるのはきっと自分を護りたいから。
用がなくなったらきっとまた嫌うだけ。
そうわかってしまうのがすごく気持ち悪い。そんな、気持ち悪い自分もあの人も
忘れたくても忘れられない。
「静寂に包まれた部屋」
甘く香るヘアオイルに
滴る化粧水
いつでも潤うように
全身に塗るローション
昼にさす紅とは違う
ハッカの効いたリップ
誰のためでもなく
私の為の時間
淡く光り
色目かせるライトの元で
自分の心音を聴き
静かだけど、でもちゃんと音がする。
自分を自分たらしめる
私だけの音
別れ際に、おめでとうと言ってきたあの子。
私より身長がちっちゃかったあの子
おててもちっちゃくて
なくなってしまいそうで
でも
真っ暗で心細かった毎日を
大きくてらしてくれた
微かに見える光を掴もうとする私に
そっと手をあて
「会えるのは、しばらく先か、またね、」
そして、
「おめでとう」
と、私より何倍も小さい体で言ってきたあの子
狭い狭い穴を抜け、見えた世界は眩しくて
いつも、声がしていた女の人が泣いていて
産まれてきてくれてありがとうって
その後出てきたあの子は動かなくて
大きな声で泣いたんだ
「行ってらっしゃい、またね」
って