新年は憂鬱だ。
俺は毎年、新年には初日の出を見に行くことにしている。
初日の出を見に行く場所は地元の子がよく集まる場所だ。
俺はあの場所が嫌いだ。
あそこは俺にとっては太陽なんかよりも直視できないほどの眩しい人ばかりの集まりだから。
本当はこんな場所で初日の出なんか見たくなかった。
でも、友達はあっち側の人間であそこの場所が好きらしい。
別に嫌いと言っても、あそこで見る初日の出は嫌いじゃないし、むしろ家で迎える初日の出よりは清々しい気持ちで眺めている。
だから行っている。
案の定、俺の友達はいないに等しかった。
みんな眩しい側の人間。
辛かった。ノリが合わない。よく知らない内輪ノリを始めていている。
友達はほかの友達と喋っている。
独りだ。
俺は自分自身のことを垢抜けたと思ったから、きっとあんま仲良くない人でも声を掛けてくれて、イケメンとか言われるんだと思ってた。
クソみたいな妄想だった。
挙句の果てには、「こいつ誰?」と俺を指さして友達に聞いてきた奴がいた。
そいつは髪を金髪に染めていて、お前が誰だよと聞きたくなるような奴だった。
友達は俺の名前を言うと、耳馴染みのない名前のせいか金髪の男は俺の名前を聞き取れなかった。
「えっ?えっ?」
なんども聞き直しているうちに周りにいた人達も俺の正体に気になり黙って友達が俺の名前を言うのを聞いている。
このシーンとした空間がきつい。
もう終わってくれと思った時、金髪の男はやっと俺の名前を聞き取れた。
恐らくこの間の時間は十数秒だけなんだろうけど、俺の中では1時間の感覚はあった。
金髪の男は名前を聞き取れたが俺の事なんか知らなかった。
まわりも俺の事を覚えてくれちゃいなかった。
金髪の男は「誰だよそいつ!」と言った。
もう逃げ出したかった。
しかも金髪の男はツッコミのつもりで言ったのだか受けなかった。
地獄だ。
俺は何も言うことが出来なかった。