落ちていく
木々が色付く季節になった。
先日旅先で見た、何気ない木々の落葉を
やけに印象的に憶えている。
風が吹く度に、何百もの葉が
ひらひらと楽しそうに舞っていた。
風が弱いと呆気なくぽすんと落ちてしまうだろうに。
でも、今どんなに風に吹かれても
皆いつかは地面に落ちて土に還る運命。
悲しい哉、人生に似ていると思ってしまった。
夫婦 [fiction]
1本の木を想像する。
枝の先には、幾つも花が咲いている。
ふと目をやると、違う枝から伸びた2つの花が
手を重ねるように寄り添いあっていた。
違う枝で、違う道を切り開いて、
行き着く先で2つは出会った。
そういえば、根っこの部分が同じだった。
似た者同士なのかなと、私は少し可笑しくなった。
宝物
上手に生きる秘訣は、宝物を見つけること。
思い出の写真でも、指輪でも、推しキャラのアクキーでも……物理的に手に持てるものを用意しましょう。
もしも、辛いことがあったら……
まず宝物を両手で優しく包んで、
自分の心臓に近づけるように左胸に当てて、
鼓動を感じます。
あなたが宝物を大切に思うように、
宝物自身も、
大切にしてくれるあなたのことが大切です。
泣きたくなったら、気が済むまで泣いたら良い。
宝物との時間だけは、誰にも邪魔する権利はない。
たくさんの想い出
想い出を遡ろうと、カメラロールを開く。
指を滑らせる度に、時が巻き戻っていく。
でも、1番心に残っている瞬間の写真って意外となくて…
本当に大切にするべきなのは、
頭の中のカメラロールなのかもしれない。
冬になったら
冬になったら、散歩が少し楽しくなるのです。
皆寒いからと外に出たがらないけど。
冬は星が綺麗に見える。
空気が澄んでるんだなぁと
上を向いてぼんやり歩いていると
冷たい風もなんだか心地よくなってくる。
冬ってなんだか寂しいけど……
悴む手を突っ込んだポケットの体温とか、
白い息が空気に溶けていく様子とか、
そういうものが「生きてる」って実感させてくれる。
あぁ、生きてる!