男はこれまでずっと考えてきた。
どうすれば幸せになれるのか。
70歳を過ぎてそれを悟った。
気づくのに50年以上かかった。
そして、最近悟った。
それは本屋で簡単に見つかることに。
男は『読み書き』を知らなかった。
【ある国では仙人】
【ある国では可哀想な老人】より
2010年に君と最後に会った日、
オレは失恋のショックで
自暴自棄になっていた。
ヤケクソで「仮想通貨」とかいう
わけのわからないモノに100万円投資した。
70万ビットコイン買っていた。
オレは残りの金でコールドスリープに入った。
2024年の今日、
コールドスリープから目覚めたオレは
まず、ニュース記事を漁った。
「仮想通貨」「ビットコイン」という単語をよく目にして思い出した。
当時の70万ビットコインが今いくらになっているのか気になった。
調べると、心臓が止まりそうになった。
「なんでも手に入る」
そんな言葉が頭から離れなかった。
震えながら口座を確認した。
しかし、
口座残高には1ビットコインも入っていなかった。
夢でも見ていたのか。
過去のニュースを再度漁っていると、
「DDD仮想通貨取引所、
ビットコイン流出事件」
というタイトルが目にとまった。
オレはショックで倒れた。
あなたがいたから
書くことを続けられた。
ありがとう。
「これからは
ディープラーニングの時代です。
これにより明るい未来がやってくるでしょう」
と、ある有名な科学者が言った。
「なるほど」と私は思った。
流行に敏感な私はすぐに取り組んだ。
思いっきり走った。
走りまくった。
すごく汗をかいた。
「ディープランニングか、なかなか良いじゃないか。私の未来はきっと明るいぞ」
『ディープラーニング』
コンピューターが自動で大量のデータを解析して、データの特徴を抽出する技術のこと。
昨日、
買い物から帰る途中、
道端でウンコを踏んでしまった。
最悪な気分だった。
就寝前にそのことを日記に書いていると、
ふと、「1年前はどうだったかな」
と、思った。
何か良いことが書いてあれば
少しは嫌な気分が紛れるかもしれない。
同じ日付のちょうど1年前までページをめくった。
ウンコを踏んでいた。