こんな夢を見た
僕は今朝、こんな夢を見た。
それは、僕が子猫になっている夢。
子猫の僕は、母や兄弟たちとはぐれ、あてもなく歩いているところを、キミに抱き上げられた。
そう、今の僕みたいに。
「どうしたの?」
夢を思い出しながらキミを見つめていると、キミに不思議そうな顔をされる。
「ん?見た夢のことを思い出してたんだ」
「へえ、どんな夢だったの?」
「子猫の僕が、キミに抱き上げられた夢」
「ふふっ、かわいい子猫だったんだろうね」
キミは、かわいい子猫を想像しているのか、にこにことしている。
「そうだったのかな。でも僕は、夢の中でもキミに助けられてるんだね」
僕が失恋してどん底にいるとき、僕の心に寄り添ってくれたのがキミ。そのおかげで、また恋をすることができた。
「僕ばかりキミに助けられて、なんだか情けないな」
キミの顔が見れなくて、俯くと
「そんなことないよ。私だって、あなたと一緒にいることで、イヤなことがあっても、落ち込まずにいられるもの」
「でも」
「なら今度、私へのお礼として、ケーキ食べに行こ」
顔を上げた僕に、キミは微笑むのだった。
タイムマシーン
「ねえ、タイムマシーンに乗れたら、どこに行きたい?」
リビングのソファでくつろいでいると、唐突にキミに聞かれる。
「え?急にどうしたの?」
「今読んでる小説の内容が、タイムマシーンに乗って、過去と未来を変えようとする奴らの陰謀を阻止する。って感じなの」
「へえ、そうなんだ」
だから、聞いてきたのかな。と納得し
「俺はタイムマシーンに乗れたとしても、どこにも行かないよ」
俺の考えを答える。
「え、どうして?過去に行って、歴史上の人物に会ったり、未来の自分に会ったりできるよ?」
俺の答えが意外だったのか、キミはそう言うけれど
「だってさ、過去や未来に行って、今が変わったらイヤだから。キミといる今の幸せが、なかったことになるのは辛すぎるでしょ」
俺がそう答えた理由を話すと、キミは俺に抱きついたのだった。
特別な夜
「あぁ~緊張する」
今僕は、慣れない服に身を包み、鏡の前に立っていた。
「着方、変じゃないよな」
僕が着ているのはスーツ。着る機会などほぼないから、念入りに鏡を見ながら身だしなみをチェックしている。
「大丈夫だよな」
こんな格好をしてこれから僕が行くのは、ドレスコードのあるお店。彼女と付き合って、初めての彼女の誕生日。平日ではあるが、夜は会えるということで、2人にとって特別な夜にしたくて、予約した。
「そろそろ行くか」
最後に鏡で姿を確認し、待ち合わせ場所へ向かうのだった。
海の底
「うわー、キレイ」
夏に行きたい、おすすめの場所。
というテレビ番組をキミと見ていると、画面いっぱいにキレイな海面が映る。
「砂浜に近い場所は海の水がキレイだけど、海の底ってどうなってるんだろうね」
と、不意に聞かれるが
「海の底かぁ…」
光が届かない海の底。
どれほど深いのか、どうなっているのか想像もできない。
「どうなってるんだろうね。見てみたい気もするけど、闇が広がっていそうで怖いなぁ」
「そうだね。誰も見たことのない世界を知るのは、わくわくもするけど、ドキドキもしそう」
2人で顔を見合わせ苦笑したあと
「今度海に行こうか」
「うん」
海に行くことにしたのだった。
君に会いたくて
「はぁ」
ソファに寝転がり、スマホを見る。
見たいものがあるからではなく、暇つぶしに。
「…つまんねえな」
なんとなく見ているだけの画面。自分の気になる情報もなく、ため息だけが増えていた。
「今頃君は、頑張っているのかな」
思い浮かべるのは大好きな君。
できるなら毎日でも会いたいけれど、しばらく会えていない。
というのも理由は簡単で、君の会社の繁忙期だから。
「あぁ、会いたいな」
もう少しすれば、忙しいのも終わるから、それまで待ってて。
という君の言葉を信じ、その時を待つ。
「…君が頑張ってるのに、俺は…そうだ」
ゴロゴロしてる場合じゃない。
君に会えたとき、お疲れさまの労いをするために、手料理を振る舞おう。
料理は初心者だけれど、今から頑張れば。
君に会いたくて仕方ない気持ちを心の奥に封じ込め、俺は料理の練習をしようと決めたのだった。