学校を卒業してから、初めて同窓会が開催されることを知り、地元に戻ってきた。
「みんなに会えるの楽しみだな」
学生時代しか知らないみんなが、どんな大人になっているのか、俺は今からワクワクしていた。
「でも1番は…」
その当時好きだった子。在学当時は想いを伝えられなかったけれど、今でも想いは忘れられず…。
「会えたら今度こそ…」
そう決心して、俺は同窓会に向かった。
「久しぶり、元気そうで良かった」
「お前もな」
仲が良かった奴らと、久しぶりに会うのに、当時のように話が盛り上がる。
「そういやお前、知ってるか?」
「ん?何を?」
「あの子、今日来てないだろ」
「え?そうなの?」
想いを伝えようと思っていたのに、来てないのか。と、残念に思う間もなく
「ああ。結婚して遠くに行ったみたいで、なかなかこっちに来られないらしい」
追い打ちをかけられる。
「へえ、そうなんだ」
何とか返事はしたものの、俺の心は複雑で。
告白する前に失恋した俺の恋。
あの子が俺の恋人になる。
叶わぬ夢とわかっているのに、この想いを断ち切ることができないのだった。
心のざわめき と 花の香りと共に です
心のざわめき
幼い頃から一緒に過ごした、家が隣の幼なじみ。
お兄ちゃん。と呼んでくれるキミを、僕は妹のように思っていた。
けれど、キミと遊んでいたのは小学生までで、その後は、たまに会って話す。くらいになっていた。
そんな日々が続いたある日、街を歩いていると、友達と楽しそうに歩くキミを見かけた。
「あ……」
僕が見たことのない、かわいい服装のキミ。胸がドキッと音を立て、心のざわめきを感じる。
「………」
妹のように思っていた気持ちが、違うものへと変わったのだと、胸の痛みで知らされたのだった。
花の香りと共に
花の香りと共に訪れる春。
街はピンクに色づき、心がウキウキするのを感じる。
「桜、キレイだなぁ」
桜の木の下で立ち止まり、桜を眺める。
「お花見するなら今が最高のタイミングだよね」
そう思うけれど
「その前に、自分に春が来ないとな」
お花見を一緒にしてくれる、恋人がほしい。と思うのだった。
透明 と 君を探して です
透明
「キミがわかってくれるまで、何度でも言うね。僕はキミが大好きだよ」
笑顔でキミに伝えるけれど、曇ったキミの顔は晴れない。
こんな時僕は思う。
心が透明だったら、嘘偽りのない気持ちを、キミに見せられるのに。って。
でもそれは残念だけどできないから、僕の想いをギュッと込めて、キミを抱きしめたのだった。
君を探して
「僕の未来の恋人は、どこにいるんだろう?」
顔もわからない君を探して、散々探し回るけれど、僕の未来の恋人は現れない。
「焦らなくてもいいのかな」
友達の結婚ラッシュが続き、焦っていたけれど、一度立ち止まったら、自然と肩の力も抜けて、表情が和らいだ。って言われるようになった。
君を探してみたけれど、見つけることはできなかった。けれど、探した時間は、新たな出会いと僕の心を成長させてくれたのだった。
「はぁー」
今日は1日、良いことがなかった。
仕事でミスしたり、コーヒーをこぼしたり、人とぶつかったり。
でも、落ち込んでも仕方ない。
今日が終わり、また初まる、明日を初心に返って、新たな気持ちで迎えよう。
「うん、頑張ろう」
俯いていた顔を上げ、僕は前を向くのだった。
願いが1つ叶うならば と 星 です
願いが1つ叶うならば
願いが1つ叶うならば、僕はもちろん
「告白が成功しますように」
と願う。
好きな子とは、友達みんなでだけど一緒に出かけたり、よく2人で話したりもしてる。
一緒にいると、とにかく楽しいし、これからは2人でいろんなとこに行きたいと思ってる。
だからお願い。
僕の想いが、叶いますように。
星
夜空に輝く星を見上げ、僕はそっとため息を吐く。
星たちが空を明るく照らす時間。それは、キミと過ごす時間の終わりの合図。
「もっと一緒にいたいのに」
そう思うけれど
「あまり遅くまでは」
と言われては、ワガママを言うわけにもいかない。
「これはきっと試練なんだ」
僕ともっと一緒にいたい。キミがそう思ってくれるまで耐えてみせる。心の中で星たちに誓い、繋いだキミの手を放すのだった。