『コーヒーが冷めないうちに』
どうか、このコーヒーが冷めるまでは、
何も言わずに抱きしめてください。
コーヒーが冷めてしまったら、
綺麗さっぱり私のことを忘れてください。
そしてもう二度と、私には声をかけないでください。
これまでにたくさんのコーヒーを飲んだはずなのに、
こんなにも苦いコーヒーは初めてだよ。
『パラレルワールド』
あの日から、私は変わった。
何も信じられなくなって、心には頑丈な扉をつけた。
今もなお、変わらずに生きている。
あの日、変化することがなかったら、
もし、それまでのまま生きていたら、
私はもっと苦しまずにいられたのかな。
パラレルワールドにいる私には、
こんな思いをせずに生きていて欲しいな。
『時計の針が重なって』
魔法が解けた。
きれいなお洋服に、私に合ったお化粧。
普段なら絶対しない髪飾りもした。
同じ時を過ごすために必要だったもの全部が、
まるでなかったかのように解けてしまった。
少しだけでもたのしい時間が過ごせてうれしかった。
一緒に笑い合えて、この上なく幸せだった。
分かっていたけれど、やっぱり悲しいな。
涙が止まらないや。
身の丈にあっていない恋をした私が悪いのにね。
『僕と一緒に』
来月は、彗星が見えるそうです。
きっと星もきれいですよ。
少し遠出して、街明かりがないところへ、
星を見に行きませんか?
帰りには美味しい料理をどうでしょう。
きっとあなたと一緒なら、
どこへ行っても心が踊ることだと思います。
『cloudy』
晴れ間はない、でも雨が降る気配もない。
冷たい風が吹いていて、少し冬を感じる。
そんな曇りだった。
あぁ、私の心みたいだと、ふと思う。
暑さを嫌い、冷たさを好む。
雨はたまにしか降らなくて、常に乾燥している。
潤いも、暖かさもない。
晴天が恋しい。
冬の、水色の空が恋しい。
いつになったら、私の心は晴れるのだろうか。