還暦の二丁サスペンダ
衰微で懸ける望み
踏切のカントリーロード
過ぎ去りし日々の郷愁
あのう姉妹の折紙教室
豪奢に宿るか儚きかたち
蛍光灯のプロポーズ
煌に誓うも消えゆく定めか
黒板消しの天体観測
塵芥の中に仰ぎ見る悠久
綿菓子の間(ま)のヘヴィメタル
甘き刹那に轟(とどろ)く叫び
薔薇の包みの鬼島津

涸(か)れし灯(ともしび)
芽吹くは遠く
朽ちたたまには 実はならず
惑(まど)いの涯(はて)か
虚飾と望みの 揺れ秤(ばかり)
されど確かに 爪痕は残り
微かな光 あす照らす現れ

はなうらの末(すえ)
いかにやせん
好き好き嫌ひ また好きと
最後の言(こと)は 忍と忍
きのうの争ひ いずこへゆきし
今日はご機嫌うるわしよい
思はぬ次第に 胸ざざめいて
わらわの心 見透すか
ことさらなる 咳などをほん
実にうたいの狂言のごとし
はなのうらいの 是非いかに

五のとき 北土に 紅に
最果ての陣 息呑む蒼穹
湧き上がること 刹那の荘厳

緋(あけ)の調べの魂の
爪弾く糸は 烈火に 絶に
滾(たぎ)る血潮と
凍てつく有明
宿命(さだめ)を背負うか
抗(あらが)う鼓動か

行き交う人影 遠い世界
胸を突き通すのは 慈悲
百万遍でも 許さない
兼愛ばっかり 大嫌い
キッと まなじり
きゅっと かなづき
気づかないフリ
ワザと間違える
色褪せないのは ガラスの破片
にじむまぼろし 鮮やかに崩れ