91番 まなじり精緻
山の向こうは また山で
街は灯りし 軽行きカーキ
極上サボり エリートくだり
酔いどれ姐さん 赤電話鳴らず
誰か伝えてくれるだろうか
あの日の凍てた雪原に
まだ立つ者が いる事を
呼べば帰るは インカルシ
口笛カチカチ まなじり精緻
誰かの笑いで 途切れて目覚めて
上着の裾に 昨日がついて
夜のすき間で チカチカ隠す
あえて最果て 襟立て狩りて
泣くほど遠くの 奥深く
夜をくぐって よろけて笑う
90番 ピカタうたかた
骨がシャンとすりゃさー
下院したいん ご安全に
ネパール ナポーリ 仲直り
照れ頼り 我は誰なら だらり帯
美男子 茶箪笥 お気に召す
ダンケシェーン 寒気せん
歯抜け 三毛猫たぶらかす
酒かすスライス 酢味噌マシマシ
博多鼻唄 ピカタうたかた
忘れたふりで キツネの絵筆
インピーダンスで 門扉閉ず
誰ぞ笑えよ 角が立つ
夢の端っこ ひらひらと
声は要らない 風に従う
骨が鳴るまで 我 千切れ筆
89番 アブラカタブラ
優しくするにも三倍覚悟
ぞっこんからには飛び切りで
盾と兜と鎧と更に
一兵卒でも 主旋律
鯛塩焼きより 鮒ずしよろし
鼻つまみでも 想い想われ
乙女塚 板前うたた寝 秋の香静か
出来た私は 宵越し持たし
勝っとん良かった レガッタ味方
ターフ疾風 恋うた歌ふ
囲い鴨 野良嘲笑い 憐れまれ
渦巻く 隈無く 浅く引っ掻く
僕文句 特区追っ付く 真かね吹く
草冠 モグラ嫁入り まくら片腹
命まるごと アブラカタブラ
88番 澄みスミレ
美鈴 隅々 水鏡
真水 増します 澄みスミレ
まみ笑みコーラス もしもピアニシモ
国土リガード どんどんリゾート
おとん関東 水戸納豆
他人宿 黒糖かりんと お茶どうぞ
日常茶飯事 お三時 麩菓子
昆布茶 近似値 崖っぷち
丹波ガンバ 銀歯 ナンバワン
えづき坂 兄貴ズキズキ あずき好き
キャラ立ち 切り口 炬燵公達
なかば顧問 紋付袴 コパカバーナ
もっか三日ばっか 民家Day
闊歩ボーカル ギャル ポラロイド
澄みスミレ ひらひら沁みる 真昼夢
87番 活気過去イチ
猿手なでなで セレナーデ
湯気の向こうの追憶ひとさじ
襟首 えびマヨ 縁結び
ふたを開けたら もう晩秋
ウクレレ ここ掘れ 日本晴れ
見つめる先は いつも明るい
イナゴを擁護 おなごから横槍
湯呑みの底で 月が欠けたよ
箱階段 ロダン文壇 地団駄踏んだん
活気過去イチ 空気イス
花粉まみれの 貸し倒れ
オタク居留守す 印鑑失くす
いかでも来るーん 陽はのぼる
通れツナマヨ 猛追許すな
ポン酢気に入る マドリード
たぶんなんとか 高らか挽歌