目を瞑って雨の音を聞く。
しとしと ポタポタ ざぁざぁ
多分ほとんどの人が同じ音で表現しないだろう。
あなたの梅雨はどんな音ですか。
「梅雨」
「突然の別れ」
「大嫌い!」と言いかけて言葉を飲み込む。
数年前、突然の身内との別れ。その前日、私はその人に優しい言葉をかけられなかった。
どれだけ後悔しただろう。もっと他に伝えられる言葉があったろうに。涙が止まらず何度も伝えられない「ごめんね」を呟いた。届かないごめんねほど悲しいものはないと知った。
そんな後悔は私に怒りを飲み込む癖を与えた。もう同じ後悔はしたくない、もっと他に言葉はあるはず。そんなことを思ってつい飲み込んでしまうのだ。
「………」
沈黙した私に相手が鼻で笑う。心底馬鹿にしたようなその顔に思わず拳に力が入った。
「ほら、俺が正しいから何も言えないんだ…いだっ!!」
怒りは時として後悔を生む。けれど怒りを飲み込むことが正しくない相手もまた存在するのだ。
思いの外スッキリとした頭で、そういう時もあるんだと痛感した。
誰もいないような静かな夜に、電車のガタガタと言う音が遠くから鳴り響く。
遠いはずの舟の汽笛が、姿の見えない鳥の鳴き声がする。
真夜中はいつも世界に一人きりになった気分になる。
けれどその真夜中の静けさの中に、昼間には出会えないたくさんの息遣いを感じるのだった。
「真夜中」
後悔はできる限り少ない方がいい。
それは確かにそうだけど、後悔を避けてばかりで何もしないのもまた、人生最期に特大の後悔をお見舞いされそうな気がして。
それは勘弁、なのでたまにの後悔はまぁ甘んじて受けようと思うのだった。
「後悔」
「風に身をまかせ」
どこまでだっていけるのだ、なんて言うが易し。
飛ぶのは私、着地するのも、もっと遠くへ飛び続けるのも私。
なら私は誰よりもしっかりと、飛ぶに値する瞬間を見定めなければいけない。
行きたい場所まで飛んで行けるように。