夜景
私が好きな夜景は工場の夜景だ。高い山から観る夜景も、高層ビルから観る夜景もとても綺麗だけど、工場のオレンジ色の夜景を観るとぐっと胸が詰まる思いになる。
高い煙突から出る炎、工場の片隅のぽつんと置かれた自動販売機、見え隠れするヘルメットの人々。
物悲しく切ない気持ちになるのはなぜだろう。
昼間の顔と全く違ってしまうからだろうか?オレンジという色のせいだろうか?
静岡県の岳南電車の「夜景電車」に乗ってみたい。
花畑
今日、大好きな彼に告白された。嬉しくて嬉しくて、私の頭の中はお花畑だ。
だって幼稚園の頃からずっと好きだった。皆んなはそうでもないと言うけれど、私にとっては超イケメンだ。スポーツはイマイチだけど、足は速いと思う。だって悪い事をして先生に見つかった時の逃げ足はかなり速い。勉強は〜、私とどっこいどっこいかな?
どこがいいの?って言われるけど、彼の笑顔は最高だと思う。笑った時にできる、目尻のシワはとても可愛い。
彼にやっと告白された私はもう40歳。彼にずっと一途だった私とは反対に、彼はバツイチ。そんな事は関係ない。やっと振り向いてくれた。
私にも春が来た!
頭の中はお花がいっぱい咲いて、お花畑だ!
幸せになろう!
空が泣く
私が彼氏にフラれた日は必ず空が泣く。私の涙を消すように空が泣く。神様は私のこの痛みが分かるのだろうか?辛くて辛くて、自分でもどうしたらいいのかわからないこの気持ち。
でも、わかってくれているのかもしれない。晴れて、スマイルの雲の形だったら余計に辛い。
曇りだったら、どんよりして立ち直れない。
雪だったら、転ばないようにと失恋に集中できない。
思いっきり泣いて、雨が涙を流してくれて、空も一緒に泣いてくれているって思える天気の方がいいのか、、、?
どの道、失恋は辛いんだ。
空が泣いていようが、笑おうが、、、。
家に帰ってお風呂の中でもう一度泣こう! 風邪ひいちゃいけないし、、、。
君からのLINE
君からのLINEは、白いモコモコのパンツを履いたピンクのうさぎのスタンプが多い。
待ち合わせに遅刻すると、今にも泣きそうな顔をしたピンクのうさぎが走って「まってくだちゃい」とか言っているスタンプ。
喧嘩した日のスタンプはうるうるした涙目のうさぎが「ごめんね」と言っているスタンプ。
僕の誕生日には、ケーキを持ったピンクのうさぎが転んでケーキをぐちゃぐちゃにしてしまうスタンプ。これは祝ってくれているんだろうか?
ピンクのうさぎ、白いパンツで検索してみた。どうやら「おぱんちゅうさぎ」と言うらしい。少しマンガを読んでみた。
笑えた。感動した。実に健気で純粋。みんなのために頑張っているのに報われない。うるうるの涙目と分厚いくちびるが可愛い。
直ぐに「おぱんちゅうさぎ」のスタンプを購入した。
それから、僕と彼女のLINEは「おぱんちゅうさぎ」が飛び交っている。頑張れ、おぱんちゅうさぎ、きっといつか報われる、、かな?
命が燃え尽きるまで
私の幼い娘は10年前、連れ去られ林の中で遺体となって発見された。当時は何百人という警察官が捜査に当たったが、犯人は捕まらなかった。
近くに防犯カメラもなく、現場には犯人に繋がるものは何もなかった。年を重ねる毎に警察官の人数も減り、世間から忘れられていった。私は当時、娘が着ていた服と娘の写真を載せた紙を配り、情報提供を求めた。
娘が発見された現場にも何百回も行った。
妻は娘の事件から病に倒れた。
私達夫婦にとって娘は希望であった。全てであった。
ある日、一本の電話、、、。
「娘、可愛かったなぁ。パパ、ママって泣き叫んでたよ。なんで助けに来なかった?ふふふ、、、」
電話が切れた。
私は怒りに震えた。
許さない、絶対に許さない。
この命が燃え尽きるまで犯人を探し、この手で殺す。
待っていろ、必ずお前に辿り着く。