バズ母

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9/15/2023, 11:50:31 PM

君からのLINE

君からのLINEは、白いモコモコのパンツを履いたピンクのうさぎのスタンプが多い。

待ち合わせに遅刻すると、今にも泣きそうな顔をしたピンクのうさぎが走って「まってくだちゃい」とか言っているスタンプ。

喧嘩した日のスタンプはうるうるした涙目のうさぎが「ごめんね」と言っているスタンプ。

僕の誕生日には、ケーキを持ったピンクのうさぎが転んでケーキをぐちゃぐちゃにしてしまうスタンプ。これは祝ってくれているんだろうか?

ピンクのうさぎ、白いパンツで検索してみた。どうやら「おぱんちゅうさぎ」と言うらしい。少しマンガを読んでみた。
笑えた。感動した。実に健気で純粋。みんなのために頑張っているのに報われない。うるうるの涙目と分厚いくちびるが可愛い。
直ぐに「おぱんちゅうさぎ」のスタンプを購入した。
それから、僕と彼女のLINEは「おぱんちゅうさぎ」が飛び交っている。頑張れ、おぱんちゅうさぎ、きっといつか報われる、、かな?

9/14/2023, 10:31:11 PM

命が燃え尽きるまで

私の幼い娘は10年前、連れ去られ林の中で遺体となって発見された。当時は何百人という警察官が捜査に当たったが、犯人は捕まらなかった。
近くに防犯カメラもなく、現場には犯人に繋がるものは何もなかった。年を重ねる毎に警察官の人数も減り、世間から忘れられていった。私は当時、娘が着ていた服と娘の写真を載せた紙を配り、情報提供を求めた。
娘が発見された現場にも何百回も行った。
妻は娘の事件から病に倒れた。
私達夫婦にとって娘は希望であった。全てであった。

ある日、一本の電話、、、。
「娘、可愛かったなぁ。パパ、ママって泣き叫んでたよ。なんで助けに来なかった?ふふふ、、、」
電話が切れた。
私は怒りに震えた。
許さない、絶対に許さない。
この命が燃え尽きるまで犯人を探し、この手で殺す。
待っていろ、必ずお前に辿り着く。

9/13/2023, 8:02:54 PM

夜明け前

夜明け前、台所で母がお弁当を作っている。トントントン、グツグツグツ、、、。
大工の父の分と、朝練がある僕の分、まだ小学生の弟の分。
毎朝、毎朝、早く起きてお弁当を作る。男三人だから弁当箱もでかい。弟のお弁当には、タコのウインナーや海苔でご飯に飾り付け。
今日のお弁当は昨日の夜からタレにつけていた唐揚げ。
少し手抜きをすればいいのに、いつも前の晩から下ごしらえをしている。
僕が好きな弁当はハンバーグ弁当。僕はハンバーグだけでいいのに、母はきんぴら牛蒡や卵焼き、サラダなんかも付けてくれる。
夜は一番最後に寝て、朝は夜明け前に起きる。
(母さん、いつもありがとう。口では言えないけど感謝しているよ)
さーデカい弁当箱持って朝練だ。
「行ってきま〜す」
「は〜い。いってらっしゃ〜い」

9/12/2023, 10:15:47 PM

本気の恋

私には二人の妹がいる、すぐ下の妹は血の繋がった妹であるが、もう一人の妹、シンデレラとは血が繋がっていない。シンデレラは自由奔放で森に行っては動物達と触れ合い、鳥と一緒に歌を唄い楽しそうに過ごしていた。森から帰ってくると汚れた足で家に入るので、いつも注意をして床の掃除をさせてた。恥ずかしいから、もっと綺麗な服を着なさいって言っても、これが楽だからとボロボロの服をいつも着ていた。
それでも、美しいシンデレラを見て私はうっとりしていた。

ある日、お城の王子様から王妃を選ぶ舞踏会の招待が届いた。私達、三姉妹は揃って舞踏会に行くことになった。
当日、朝から綺麗なドレスを着てそわそわしていたが、シンデレラだけはドレスのまま、また森に出かけてドレスを真っ黒に汚して帰ってきた。母は怒ったが、シンデレラは舞踏会には行かないと言って、自分の部屋で寝てしまった。
仕方なく、母とすぐ下の三人で舞踏会に出かけた。
舞踏会には綺麗に着飾ったたくさんの娘達が踊っていた。
そして、王子様の登場。あ〜なんて素敵な方なんだろう。優しい眼差し、誰もが魅力する笑顔、優雅な立ち振る舞い。私は一気に虜になった。 
一度でいいから一緒に踊りたい、あなたに触れてみたい。
そこに、美しいシンデレラが入ってきた。王子様は一眼でシンデレラの虜になり、ずっとシンデレラを離さない。
0時の鐘の音、急にシンデレラが城から去っていく。ガラスの靴を置いて。

家に帰った後も、舞踏会のことを思い出す。シンデレラと王子様、とてもお似合いだった。私には敵わない。でも、私は王子様が忘れられない。  シンデレラは王子様と踊ったことを自慢げに話す。
それを聞いている私は胸が張り裂けそうになる。

そして、お城からガラスの靴を持った使者。ガラスの靴を履いたシンデレラはお城に行ってしまった。 シンデレラは王子様と結婚した。

私の恋は終わった。
本気の恋だった、、、。

9/11/2023, 10:28:44 PM

カレンダー

壁にかけられたカレンダー。一番最後の9月30日の赤い丸い印。
その日、彼と会う約束をしていた。
彼と遠距離恋愛をしていて、もう二年が経つ。彼から転勤の話を聞いて、私は仕事を捨てて一緒に行くことはできなかった。それでも、休みの日に会いに行ったり、電話で声を聞いて私は大丈夫だと思っていた。
しかし、9月に入ったある日、彼から別れを告げられた。他に好きな人ができたと、、、。
頭では仕方ないことだ、ついて行かなかった自分がいけないんだと、自分に言い聞かせていた。
諦めるしかない。でも、カレンダーを見ると約束の赤い丸い印。それを見ると、何を着て行こう、彼とどこに行こうか、彼との甘い夜、彼の温もり、彼の愛の言葉を考えてしまう。
カレンダーを10月にめくってしまおうかとも考えた。でも、この9月は彼との思い出や、彼を心から愛したことを泣きながらでも考えよう。そして、カレンダーをめくった日、10月1日からは凛とした自分を取り戻そう。
きっとできる私なら、、、。
誰かをちゃんと愛することができた私なら、これからだって大丈夫、、、。
そう信じている、、、。

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