だから、一人でいたい
僕にはどうしてもできない事がいくつかある。
料理はしたくない(ま〜これは男なら料理をしない人も多いだろう)
洗濯もしたくない。夏は臭いが気になるけど、誰にも会わなきゃ構わない。
ゴミを捨てに行かない。なぜか面倒くさい。
愛想笑い。これは全くできない。
会話。続かない。
恋愛。ゲームの推しがいるから寂しくない。
コロナ?人に合わないから怖くない。
お金?今の世の中、外に出なくても稼ぐ方法はいくらでもある。
家の中はどんどんゴミが溜まり、僕の生活スペースは狭くなっていくけど、誰かに会って人に合わせるよりもぜんぜん気楽だ。
だから、一人でいたい
ダメですか?
澄んだ瞳
娘は目が一重だといつも気にしていた。
私はくっきり二重だけど、お父さんはいつも半分寝ているような一重なんだから仕方ない。
娘は高校生の時も大学生の時もアイプチで二重にして通っていた。
大学を卒業し働き始めると、貯めたお金で二重瞼にするプチ整形がしたいと言う。
今の世の中、プチ整形を反対する人も少なくなり、
「自分で貯めたお金ならいいでしょう」
と心の広い親を演じ整形を許した。
お父さんはもともと自分の遺伝であることを気にして、特に反対はしなかった。
整形は凄い!綺麗に二重になった。娘も嬉しそうである。
「整形して良かった!毎朝、アイプチしないでいいし、楽ちん!
これでお父さんだけだね一重」
と言って出掛けて行った。
お父さんは哀しそうに娘を見送り。
「お母さん、一重だって子供の頃、あの子の目はキラキラと澄んだ瞳だったよなぁ〜」
お父さん、もうあの子は子供じゃないし、お父さんより彼氏の方が大事なのよ。
お父さんだって若い時、私のぱっちり二重が好きだって言ってたじゃない。諦めなさい、、、笑。
嵐がこようとも
僕とサチは幼なじみである。
親同士が仲良しで、家族で夏はキャンプ、冬はスキーに行っていた。
学校でも同じクラスになる事が多く「カンタ」「サチ」と呼び合い仲も良かった。
中学、高校も同じで、さすがに二人で一緒に遊びに行くことはなかったが
「カンタは小さい時、泣いてばかっかりいて、おしっこももらしてた〜」
なんて言われムカついた。
サチの周りにはいつも友達が沢山いて、男みたいな豪快な笑いをして楽しそうだった。
僕はというと友達はいたが、静かに読書をしていることが好きだった。
高校を卒業し、サチは化粧も上手くなり綺麗になっていった。でも僕にとってサチは幼なじみでしかなかった。
ある日、サチは沖縄に旅行に行った。
「カンタ、お土産買って来るからね〜」
と元気に出掛けて行った。
二日後、サチの両親からサチが交通事故に遭ったと知らされる。
サチは
「カンタに会いたい」
と言っていると聞く。
その時、初めて気がついた。サチがどんなに大切な存在かを、、。
直ぐに沖縄に行く準備をし、空港に向かった。
テレビでは台風発生のニュースが流れている。
嵐がこようとも絶対にサチのところに僕は行く!
その数時間後、僕は沖縄に到着しサチが入院している病院に着いた。
病室を恐る恐る開けると
「カンタ!来てくれたの!」と元気な声。
「サチ!大丈夫なのかよ」
「大丈夫!助手席に乗ってたんだけど、スマホ見てて頭をゴーンって軽くぶつけただけ、、頭だから軽く検査して異常なかったら退院、お母さん言ってなかった?」
そういえばサチの両親は来ていない。僕にサチの交通事故伝える時、少し微笑んでいたような。もしや、これは騙された?
まーいいか。本当の気持ちに気づくことができたんだから、、、。
お祭り
お祭りといったら、
家の近くの菅生神社
屋台で必ず買うのはキャラクターの袋に入った綿飴
ヨーヨー釣りよりも金魚掬いが好きだけど、金魚はすぐ死んじゃう
浴衣の柄は朝顔
お囃子の笛の音色が好き
必ずカップ酒を飲んでるおじさんがいる
出し物は、漫才よりも手品が面白い
神社のお参りは屋台をまわった後の1番最後
スーパーボール掬いに夢中になって小さな弟をどついてしまうお兄ちゃん
大きな声で泣く迷子
大人になって行かなくなったけど、小さい頃は楽しみだった
今年はお祭り行ってみようかな
ほら、遠くでお囃子が聞こえてる
神様が舞い降りてきて、こう言った
神様、私は一人ぼっちです。
両親は他界しました。夫とはずいぶん前に離婚しました。
娘は海外に嫁ぎ、愛犬は老衰で亡くなりました。
仕事は去年、定年退職しました。
毎日、家で一人読書をしながら過ごしています。
神様、私はこれから先、ずっと一人で孤独死をするんでしょうか。
その時、神様が舞い降りてきて、こう言った。
「心配しなくても大丈夫です。
星ひとみさんの人生占いによると、あなたは2年後素敵な彼氏ができて幸せになれるとでています」
神様、占いって、、、。
神様が占いって言っていいんですか?