鳥かご
昔、小さなペットショップがあって、その店頭にはいつも鳥かごに入れられた九官鳥がいた。
九官鳥はお喋りが上手で
「おはよう」
「おか〜さん」
「いってらっしゃーい」
と通り過ぎる人に声をかけていた。
その九官鳥のお陰かどうかわからないけど、そのペットショップはそこそこ繁盛していた。
最近、その九官鳥が店頭にいない。とうとう売れてしまったのかと残念に思っていた。
1ヶ月後、ペットショップの前を通ると九官鳥がいる。
そして九官鳥が発した言葉は
「カンタ!またフラれた!」
この声を聞いて、大学生ぐらいの男の人が急いで九官鳥の鳥かごを抱えて、
「母さん、こいつを店に出すなって言っただろ〜
こんな家族の内情を話す九官鳥誰が買うんだよ
あ〜わかった、わかった、俺が金払って買うから、店に出すのはやめてくれよな〜」
私は笑いながら、生き物を飼うって大変なんだなぁと思った。
友情
僕はシュナウザー犬のカンタです。 夕方になると小学生のゆきちゃんが散歩に連れて行ってくれます。
散歩の途中で毎日会うのがパグのハル君。
初めてハル君に会った時は潰れた顔を見て爆笑してしまった。
でもハル君ぜんぜん怒ったりしないで、お尻をクンクンしてくれた。 それから僕らに友情が芽生えた。
僕は散歩が嬉しくて、あっち行ったりこっち行ったり。よくゆきちゃんに怒られた。
でもハル君は落ち着いていて、飼い主さんの左横をぴったり歩いていた。
(ハル君の足はちょっと短いからな〜)
おっ!あっちからかわいいプードルが来た。
(ねーねー僕、カンタ!一緒に遊ぼうよ)
(ちょっと!ゆきちゃん!あんまりリード引っ張らないでよー)
だけどハル君はかわいいプードルを無視して真っ直ぐ歩く。
その時、大きなシェパードが前から犬歯を剥き出しにして僕に近づいて来る。
(ゆきちゃん、怖いどうしよう)
怖くて一歩も歩けない。
そんな僕の前に突然ハル君が立ちはだかりシェパードを睨む。
シェパードは一瞬ハル君を睨んだが、飼い主に引っ張られ行ってしまった。
ハル君が自分の鼻の頭をペロリと一回舐め、僕を見るとまた飼い主さんの左横を歩き出した。
ハル君、ありがとう!
僕たち今日から親友だね!
また明日も待ってるね!
花咲いて
娘が生まれた日、恥ずかしながら妻の手を握り泣いてしまった。
娘が初めて立ち上がった日、ハラハラしながら
「がんばれ〜」
って、こっちが全身に力が入った。
幼稚園で描いたパパの似顔絵をもらって、ありがとうと抱きしめた。
小学校の運動会で一緒に走った。
中学生になると、妻とばかり出かけ、少し距離ができた。
高校生になると無視される事が増えた。 でも、テニス部頑張っていたよな。
大学生になるとお酒を飲んで帰ってくる事も増え、少し不安だった。
社会人になり、初任給でネクタイ買ってくれたよなぁ。ずっと大切にするからな。
そんな娘が明日、結婚する。
花咲いて
父から巣立ち
白無垢に
幸せになってくれよな。
もしもタイムマシンがあったなら
もしもタイムマシンがあったなら、自分がいない未来に行っても仕方ないから、やっぱりバブルのあの時に戻ろうかなぁ〜。
めちゃくちゃモテたけど、イケメンとばっかり付き合って結局フラれた。 だから顔だけじゃなくてちゃんと選んで、もう一度恋愛をしよう。 そうしたらあんなに毎日泣くこともなく、胸が張り裂けそうな辛い思いもしないでいい。
でも待てよ?
1番最低だった、あの浮気やろ〜とは結婚しないと、この大切な娘と、目に入れても痛くない孫には会えないのか〜。
元旦那とは離婚して、苦労したけど、娘や孫に会えないのは絶対に嫌だ。
ならバブルの時代に戻るのはやめて、娘を産んだあの日に戻ろう。
初めて娘を抱いて、溢れる涙を止められなかったあの日へ。
すべての人に感謝した、あの日に戻ろう。
生まれてきてくれて、ありがとう。
今一番欲しいもの
60歳過ぎると身体も疲れやすく旅行もしんどい。
服も似合うものが少なくなりお腹とお尻が隠れる服ならなんでもいい。
食べるものも油こいものはキツく、すご〜く食べたいものもない。
健康で長生きしたいかというと、普通に老いていくことに抵抗はない。
じゃ〜私が一番欲しいものはなんだろう?
しばらく考える。
あっ!そうだ!
5年前から始めた中高年が好きなポケモンGO。
ず〜とゲットできない、ミュウツーが今一番欲しい!
ゲットできたらカントー地方のポケモン図鑑は全部埋まるの〜
ミュウツー!欲し〜い!