コノハ

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8/23/2025, 11:11:41 AM

【遠雷】

「きゃっ、」
「今のスゴかったな」

暗く曇った空は今にも雨が降り出しそうで
遠くの方で雷鳴が轟(とどろ)いた。

「ねえ、早く帰ろう」
「何?怖いの?」
「…別にそう言う訳じゃないけど」

そう言いながら君はぎゅっと俺の腕を強く握った。
君が雷が嫌いなことは知っている。
それが可愛くてついついからかってしまう。

「わかったよ。早く帰ってアイスでも食べよう」
「うん!」

君は嬉しそうに笑った。

暫(しばら)くして空から雨が降ってきた。
「やっぱり降ってきたね」
「早く帰ってきて正解だったな」
「そうだね」

すると。
今度は近くで雷の音が響いた。

「っ!?」
君はきつく瞳を閉じた。
「大丈夫か?」
俺はそっと君の肩を抱いた。
「大丈夫だって」
「嘘。震えてんじゃん」
「本当大丈夫。ちょっと驚いただけ」
そう言って強がる君は俺の体を押し退ける。
「無理すんなよ」
「別に無理なんか…」
「強情」
「…」
「こういう時くらい素直に俺のこと頼ってよ」
そう言うと再び君を抱き寄せた。
「…かっこつけ」
「実際格好いいだろ?」
「ナルシスト」
「はいはい。なんとでも」

そう言いながらも君はゆっくりと俺の体に体重を乗せていた。
素直じゃない君。
大人じゃない君。
口の悪いところも全部。

「大好きだから」

8/22/2025, 11:36:20 AM

【Midnight Blue】

あなたの顔も私の顔も
誰が誰かもわからずに
緋 青 黄
色がはためく
目眩(めくるめ)く世界

あなたが踊れば私も回る
くるくるくるくる
誰も彼もが
踊り明かそう

夜が明けるまで
今宵は
あなたも私も
Midnight blueの
密なふたり

8/22/2025, 7:46:32 AM

【君と飛び立つ】

難しいことは分からない
知りたいことはたくさんある
わかりたくても
わかってあげたくても
わからない
それでも君が
飛び立つと言うなら
僕も一緒に飛ぶよ
それで何かを得られるなら
君がそれで
救われるなら
何処にだって
何処へだって
一緒だよ

8/19/2025, 10:22:48 AM

【なぜ泣くの?と聞かれたから】

「なぜ泣くの?」
君が不意にそう呟く
泣いてなんてない
「泣いてるじゃん」
だから泣いてないってば
そう言って私は君に背中を向ける
だって悔しい
君と見ていた恋愛映画
君は泣くことなく
最後まで観をえた
私だけがボロボロ
君のそのにやけ顔が腹立たしい
何故だがとても切なかった
どうしようもなかった
不意に背中が暖かくなる
「しょうがないから
泣き止むまでこのまま」
君が私を抱き締めてくれる
映画の中のワンシーンと重なって
また涙が出た
これじゃずっと抱き締めててもらわないと
いけなくなりそう
そしたらまた馬鹿だなって
君が笑うんだ

8/18/2025, 11:02:27 PM

【足音】

ズルズル ズルズル…

夜中の帰り道
いつもなら
人の影すらない

ズルズル ズルズル…

何かが這いずってくるような
そんな気配を背中に感じた

ズルズル ズルズル…

その音はこちらへと向かって
来ているようで

ズルズル…ズルズル…ズルズル…

段々とそれは近付いてきて
私は恐怖し走り出した

しばらく走るとその音は聞こえなくなった
あの音は一体なんだったのか
今では確かめる術も持たない

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