【静かなる森へ】
燦々と降り注ぐ陽の光を浴びて
その花は咲き誇る。
誰も踏み入れない森の奥でひっそりと佇む。
もう誰もここへはこられない。
私一人取り残され愛しい人はとうに枯れ果てた。
ああ。
いつまでこの孤独が続くのか。
誰と分かち合うことなく私一人静寂に溺れる。
誰がために生きるのか。
我が命は枯れ果てぬ永遠の花。
そんな中一人の青年がこの森に迷い込んだ。
さて次はどんな物語が始まるのか。
それは私たちだけが知ることになる。
【夢を描け】
夢を描くにはもう遅い。
大人になり過ぎてしまった。
昔描いた夢の数々。
あんなにも沢山次から次へとなりたいものが溢れ出していた。
それが今はこんなにもみすぼらしく枯れ果ててしまった。
なぜ?
辛い現実が私を苦しませる。
あのときの私はもういない。
それでも何かを描けと言うのなら、
懐かしい面影を横目に自分の世界を捨てて
現実(いま)を生きるわ。
【ラブソング】
好きな君にこの歌を贈ろう。
好きだけじゃ足りなくて。
愛してるだけでも足りなくて。
言葉足らずなこの歌を。
どうか笑わないで聴いて欲しい。
つまり君無しじゃ僕の人生は輝かないんだ。
ずっと傍にいて欲しい。
【手紙を開くと】
手紙を開くと微かにあなたの匂いがした。
清潔な洗剤の香り。
あなたの家はクリーニング屋さん。
だからあなたの家に行くといつもいい匂いが部屋に溢れていた。
手紙を開くと微かに花の匂いがした。
芳しく華麗で甘い香り。
君の家には沢山の花が売られている。
いつも綺麗な花に出迎えられた。
あなたは今何をしていますか?
君は今何をしてるかな?
会いたい。
会いたい。
早く。
早く。
あなたに。
君に。
「「会いに行こう」」
【すれ違う瞳】
いつからだろう。
あなたの事がわからなくなったのは。
いや、初めから分からないことだらけだったのかもしれない。
だって、思えば一度だって私に好きとか愛してるとかそんな言葉をくれたことなんてないんですもの。
それに会えるのは月に一度だけ。
それもあなたの指定した場所。
ねぇ。
あなたは私の事本当に好き?愛してくれてる?
隠していることがあるなら教えて。
そう。
ならもう一緒にはいられない。
もうこれっきり会うのはやめましょう。
さようなら。
…何?痛いわ。この手を離して。
待ってくれ?
ならあなたの秘密を教えてくれるの?
無理なのね。
それでも私と一緒にいたい?
ずるい人。
いつもそうやって私を振り回して。
やっぱりあなたとは一緒にはいられない。
…私は、私だけ見つめてくるあなたの瞳が好きだったの。
だけど、今日は一度だって私にその瞳を向けてはくれなかったわ。
もう最初から答えは出ていたのよ。
違わないわ。私たちは最初からこうなることが決められていたの。
さようなら。
もう会うことはないでしょう。
それじゃあ。
(あなたがどこかのスパイでも悪人でも私はあなたに付いて行ったわ)