【好きだよ】
"好きだよ"
嘘。
"君だけが好きだ"
嘘つき。
"本当に君だけだよ"
なら、どうしてあの人を選んだの?
貴方は私を。私は貴方を。愛していたはずなのに。だけど、それももうダメなら-
「もう必要ない」
私は手に握ったナイフを月明かりが照らす胸元目掛け振り下ろした。
着ていた白いネグリジェは貴方の返り血で真っ赤に染まった。
「どうして私は選ばれなかったのかしら?」
こんなにも貴方を愛しているのに。
バルコニーから見える夜空は憎らしいほど綺麗で私の心を暗く濁らせていく。
「ああ…そうか」
貴方は最初から私を愛していた訳じゃなかったのね。
私だけが貴方を運命の出逢いと名付けあの世界から脱け出したかったんだわ。
「だけど-」
それももう叶わない。
私は柵に足をかけるとそのまま蒼い青い海へと飛び込んだ。
もう私の居場所は何処にもない。
足はみるみる魚の尾びれへと変化する。
その際元々青かった尾は貴方の血を浴びて濃い紫色へと変わってしまった。
罪の意識は1ミリも感じはしなかった。
私の心は浮気性な貴方に壊されてしまったの。
これでもう私は私でなくなってしまった。
さようなら私の純真。さようなら愛した貴方。さようなら私の大好きな海の世界。
でも、待ってるわ。
あの頃の私と同じように純真な心を持つもうひとりの私は必ず現れるわ。
その時は、
私が貴方の望みを叶えてあげる。
それまで私は深く暗い深海の縁で少し眠るわ。
おやすみなさい。
運命が目覚めることを。
【桜】
ピンク 白 薄紅
世界は白桃色に包まれる。
自分の色も桃色に染め上げ、桜舞散る世界へと歩きだそう!
【君と】
一緒に歩いていけたら、どんなに幸せなんだろうな
【空に向かって】
アイ・ラブ・ユー!!
【またね!】16
「…」
帽子「どうしたんだい?」
「名前が、出てこないの…」
三月兎「自分の名前が言えない何てアンタ変わってるな!」
眠り「かわ、っ、…てる…」
「そうよね」
そう言われても仕方がないだって本当に自分の名前が出てこないのだから仕方ない。
帽子「まぁまぁ、レディに対して変わってるは良くない。」
「…」
帽子「元気を出したまえ。そのうち思い出せる時が来るさ、ね?」
「…うん、そうだと良いけど」
帽子「さあ、紅茶でも飲んで、お菓子を食べればそんな気分も晴れやかさ!」
三月兎「ついでに歌って踊ればもっと気分がノリノリになるぜ!」
眠り「の、り…ノ、り…」
「だけど、私これから行くところがあるの」
帽子「おや、それは残念だね。よければ目的地を聞いても良いかな?」
「ええ。白兎を追ってるの」
三月兎「白兎だって!!」
「!?」
三月兎「何でよりにもよってあんな女王の腰巾着なんだ」
「女王?」
三月兎「そうさ、アイツは女王の言いなり。女王の召し使い。下僕。アイツの首を今すぐはねろ!」
「何だか散々な言われようね」
帽子「三月兎は白兎が嫌いなんだ」
「そうなの?」
帽子「理由は不明だけどね」
三月兎「首をはねろ!」
「一体彼が何をしたのかしら?」
眠り「し…ろ…うさぎ、の…いえは、…ずっと…この、さき」
そう言って眠りねずみは頼りない指先を白兎の家があるであろう道に向けた。
「あっちに白兎がいるの?」
眠り「zzz ...」
「あらあら」
寝ちゃった。
私は帽子屋達に別れを告げ、眠りねずみが教えてくれた道を進み始めた。