【願いが一つ叶うならば】
私はあなたのそばにいたい
【嗚呼】
どうしてかしら?
どうしてこんなにも胸の奥がざわめくのか。
そんなの誰にもわからない。
自分にだって。
この感情なんと呼ぶには言葉なんて無意味でしかない。
求めているのか?
求めていたとてこの手に入ること等あるのだろうか?
自分の思うままに。
そんなのは自己犠牲でしかない。
相手は不気味がって二度と私を見ることはないだろう。
こんのは自傷でしかないのだ。
嗚呼、嗚呼、嗚呼。
呼んでいる。あなたを。私自身を。
糞くだらない感情なら捨ててしまって
なりふり構わずあなたを求められたなら。
少しは自分を楽にしてあげることが出来るのか。
【秘密の場所】
ねぇ知ってる?
何を?
この学園の何処かに誰も知らない、誰も行ったことがない、秘密の入り口があって。
その先には見たこともないような不思議な世界が広がってるんだって。
誰も知らないのにどうしてあんたがそんなこと知ってるわけ?
…。
…。
…ま、その場所に行くには選ばれた人間しか行けないんだけどね。
なんか適当ね。
どの学校にでもあるような、七不思議のようなものだからね。
で?
ん?
誰かしら選ばれた人間はいるの?
さあ?
本当適当すぎる。
だって、私達はただの脇役。
ストリーテラーみたいなものなんだから、別に知らなくても良いのよ。
それもそうだけど…。
ここもある意味秘密の場所ってことで。
納得のような腑に落ちないような?
話が思い付かないとこういったことになるってこと。
ああ、なるほど。
【ラララ】
「ラララ♪」
「なに急に?」
「いや、なんか春って何でもないのに歌いたくならない?」
「ならん」
「…心本当にある?」
「殴られたいの?」
「誰が!?」
「あんた」
「いつからそんな口が悪くなっちゃったの!?
お母さんそんな子に育てた覚えありませんよ!」
「育てられた覚えもねえわ」
「まあ。何て反抗的な」
「まだ続けるの?」
「そうね。」
「あんたも好きよねぇ」
「この何でもない時間が私の幸せ」
「確かにね」
「「ラララ♪」」
【風が運ぶもの】
突然の突風。
私は不思議な風に包まれていた。
周囲には誰も居らず私だけがそこにいた。
「一体何…」
まさか、神隠しにでも逢おうというのか?
それは嫌だ。
私は今から仕事に向かう。
昨日も遅刻した上、今日も何て…。
考えただけでも恐ろしくて堪らない。
「お願い!私を解放して!」
駄目元で風にお願いしてみる。
すると。
「あっ…」
風は私から離れ、目の前には不思議な生き物がいた。
「あなたは…」
「我は風神」
「ふ、風神…!?」
「そうだ」
そうだってそうなの?
何せ風神なんて者に私は生まれたこの方会ったことも詳しくもない。
そんな私に判断が出来るわけがないのだ。
「貴様、我の花嫁になれ」
「き、貴様…!?花嫁…!?」
「そうだ」
そのそうだってやめてもらえますか?
それにさっきから偉そうに!
「む、無理です!嫌です!マジ勘弁です!」
「何故だ?」
「何故も糞もねぇです!嫌なものは嫌です!
と言うことで私これから仕事なのでこれにて失礼しま…」
「…待て」
「あっ…」
風神とか言う怪しい人?に背を向け歩き出したその瞬間私は腕を掴まれ再び顔向けさせられた。
「な…なんですか?私急いでるんで」
「ふっ…その気性の強さ。気に入った」
「えっ…」
「また、来る」
そう言うがいなか風神と名乗る怪しいその人?は最初に私を襲った突風が再び現れ次の瞬間には姿が消えていた。
「えぇっ!?」
な、なんで!?どこ行ったの!?まさか本当に風神だった?
「いやいや!」
そんな摩訶不思議なことがこの令和の時代起こるわけないない!
きっとイルージョン、新手の詐欺よ。
「けど…」
さっきまた来るって言ってたよね?
「…帰りに防犯グッズ買っていこう」
そう決意し、私は無事?出社した。