まだ行ける
もっと強く
更に強く
まだ爪先程にも触れられない背中に
必死に必死に手を伸ばす
貶したいなら貶せ
嘲笑うなら嘲笑え
足元を見る事も
後ろを見返す事も
何一つせず高みを目指す
隣に誰も居なかろうが構わない
私は私の理想を追う
流されるな
抗え
踏み込め
私はまだ行ける
…
私はまだやれる
褒めてくれた人が居たから
手を差し伸べてくれた人が居たから
後押ししてくれる人が居るから
応援してくれる人が居るから
音を繋いで言葉を紡いで
指で足で
腹で喉で
頭で声で
心で
私を支えてくれた人に
支えてくれる人に
歌え
伝えろ
私はまだやれる
…
題名:高く高く
作者:M氏
出演:阿樹羅と鞠(高みを目指すお姉ちゃんズ)
【あとがき】
“高く高く”と言う言葉に色んな情景が浮かびましたね
優しさも強さも妬ましさも悔しさも
M氏個人としましては今回のお題をポジティブに
諦めない強さを表現する為に使わせて頂きました
そこに強い憧れや、支えてくれる人達への愛情
色んな感情を当人だけの視点で語る少ない言葉数で汲み取れて頂ければ嬉しい限りです
上を向くのは首が疲れるものですが
M氏の住む場所は雲が厚く先程まで雨が降っていましたが
たまには月や星とか雲の流れとか虹とか
そんなものを見る為に首を痛めるのも悪くないと思いますね
言う事を聞けよ
「オレは後悔したくないんです」
言う事を聞いてよ
「今でも後悔しています」
言う事を聞けよ
「…ぁんなに…聞ぃてた…のに…」
言う事を聞いてよ
「聞いてたら愛されたのかな…」
言う事を聞いてよ
「自分の理想を押し付けるな」
言う事を聞けよ
「なら迎えに来てよ」
言う事を聞いてよ
「悪い事を教えただけだよ」
言う事を聞けよ
「…わかってる…」
言う事を聞けよ
「はい」
言う事を聞いてよ
「僕の言う事は聞いてくれなかったのにね」
言う事を聞いてよ
「都合の悪い子を産んだ貴女が哀れだよ」
言う事を聞いてよ
「君に迷惑をかけてないから良いだろ?」
言う事を聞いてよ
「ごめんね…上手くやれなくてごめんね…」
言う事を聞けよ
「聞いても私を捨てたじゃない」
言う事を聞いてよ
「聞けるのなら聞きたかった」
言う事を聞けよ
「言う事を聞いてよ」
…
彼らは幼かった
大人の声に逆らう程に
大人の声に従う程に
自分の声に逆らう程に
自分の声に従う程に
彼らは幼かった
泣いていいよ
笑っていいよ
怒っていいよ
全部君の大切なものだから
題名:子供のように
作者:M氏
出演:愛らしい私の子
【あとがき】
たまに誰かに甘えたくなる虚無感って来ますよね
M氏はしょっちゅう来ます、そう言うの
でも都合良く甘えさせてくれる人ってなかなか居ませんよね
いくつ年齢を重ねてもふと苦しくなった時に甘えられるような人
大切な人達がそんな人に出逢える事を願っています
『副部長、大丈夫ですか?』
小さな後輩が己を見上げて声をかける
部活動が終わり少しばかり気を抜いてしまったのか
自分の薄い唇から息が漏れていた
彼女はそれに気付いて声をかけた
「大丈夫、心配しないで」
素っ気ない言葉になるがこれが自分
彼女もそれと言って傷付いてる様子も無い
柔道着から制服に着替えて家に帰る
たかがそれだけの行為に何故こうも億劫なのだろうか
『そう言えば』
既に着替えを終えた後輩が帰りもせずに再度話しかけてくる
『副部長の噂ってホントですか?』
「なんの事?」
『いや、部長が副部長に告白したって噂です』
いつ誰に見られたのか
誰が振り撒いたのかも分からない話
ソレを聞く度に眉間に皺が寄る
「事実だよ」
『付き合ったんですか?』
「断った」
『なんで!?』
10代半ばもいかない少女が恋愛に興味を持つのも
人様の関係に首を挟もうとするのも
当たり前の日常
だが自分がその対象にされるのは気に食わない
「私が恋愛に興味無いからね」
『部長誠実そうで良い人だと思いますよー?』
「そう言うなら…貴女が付き合いなさい」
早めに退散したい
僅かばかりに持っていた制服への嫌悪を押し潰し
紺色のスカートに足を通す
『そういう訳じゃ無いですよ』
自分の声色のせいか後輩はバツが悪そうな顔をする
噂好きもお節介も程々にして欲しい
恋や愛で自分が求めてるものは手に入らない
だから興味が無い
だから断る
それまでの話だ
「暗くなる前に帰れよ」
帰るのも話すのも迷っているような後輩に出来る限り優しい声色を残す
指定カバンを手に持ち更衣室から出ていく
今日は早めに帰りたい
気分が悪い
『アキラ!』
自分と違って男性的な声で名前を呼ばれる
『今から帰るんだろ?大会の事もあるし一緒n』
「帰らない」
男の癖に目を合わせた瞬間モゾモゾと
気色悪いにも程がある
『素っ気なさすぎるだろ』
「私は早めに帰りたい」
わざわざ歩幅を合わせられると自然と足のペースが上がる
『告ったのそんなに嫌だった?』
「私はいつも通りだよ」
『確かにそうかもしれないけど』
「想いを伝えれば優しくして貰えるとでも思ってるのか?」
『…』
「…部長、私は貴方への態度を変えたつもりは無い」
期待を持つ眼差し
女性を見る眼差し
そんなものを向けるな
「変わったのは貴方の方だ」
酷く不機嫌な放課後
足を止める男を待つ事も
優しく声をかけ直す事も無い
変わらない歩調で校内を出る
暗くなり始めた空
風に揺れるスカート
男に産まれてたら
なんの違和感も嫌悪も感じずに
強さだとかカッコ良さだとか
誰かと会話が出来てたのだろうか
題名:放課後
作者:M氏
出演:🐉
【あとがき】
放課後と聞くと学校生活を連想させますね
M氏は学校に行かない時間の方が多い子供でした
家庭の事情と言うやつです
ですが指定の制服を着て同年代の子と話してみたり、時には恋愛をしてみたり
他愛無い日常を普通の感性で送ってみたかったなと大人になった今なら思えます
とは言え指定制服と言うのは如何なものかと…
ファスナーが壊れても直せない家庭でしたので
そういう時に私服でも良しとなれば嬉しかったと思います
小説に登場する彼女は性別に囚われたくないと考えていました
ですが結局は自分が1番性別に悩んで囚われていますね
身体の性別がなんであれ、誰の想いも素直に受け止めるような柔軟性
それがあれば楽だったんでしょうね
難しいばかりです
初めまして
柔く赤に染まる色を
どうか僕の声を受け止めて
その腕で包んで
体温を感じさせて
おはよう
沁みる青に染まる色を
誰かと比べて落ち込んで
零した震えを拭って
お揃いになった色で笑わせて
こんにちは
眩い黄に染まる色を
重ねてきた会話に微笑んで
同じ時間を削って
その関係を楽しませて
こんばんは
燃える桃に染まる色を
貴方なりの想い出を教えて
それは僕の思い出になって
愛おしさを覚えさせて
久しぶり
燻った黒に染まる色を
空っぽになった心を見せて
募った感情の逝き場にして
その心を埋めさせて
「俺は開けたよ」
君はどうしたい?
題名:カーテン
作者:M氏
出演:🌠
【あとがき】
M氏はカーテンを閉めっぱなしにする人です
一々開けたり閉めたりするのってめんどうですので
でもたまぁに覗き込む時があります
開けはしませんが
開けても良いかなって思う時が来ます
出演してくれた彼はずっと開けてたんでしょうかね
それとも閉める時もあったんでしょうかね
閉めっぱなしにしてるM氏には分かりませんが
人はいつか死ぬ
歳を重ねれば必ず理解する生物の理
前世とか来世とか
見えない人の方が多いナニカで動く問題じゃない
幸せだろうが不幸だろうが
善人だろうが悪人だろうが
等しく終わりは訪れる
何もせずに死ぬだけの選択もあった
諦める事も出来た
でも諦めずに生き抜いた
それが誰かの死を手に持つ事だとしても
生きる為にやった
何もしなければ死ぬ
だから人は動かなきゃいけない
身なりを整えて
今日の自分の為に
明日の自分の為に
与えられた仕事を熟す
黒か白かを求めれるような人間じゃないから
なんだってする
理由があれば偉人でも手にかける
邪魔な奴なら善人でも手にかける
裏切るのなら仲間でも手にかける
覚悟なんて出来てた
出来てるはずだった
だから親を殺しても笑って殺った
だから恩人が亡くなっても笑って殺った
だから仲間が減っても笑って
だから自分を救おうと盲目になった馬鹿が消えても
笑って
笑って…
笑えって…
出来るはずなのに
出来てたはずなのに
視界に映る掌が震えて滲む
濁り切った黒い瞳が熱くなる
柔らかな頬がボロボロと濡れる
「…なん…でェ……」
失うものばかりと決めつけるには青い
齢十数年の尺度で耐えきるには重い
身体は震え
息は乱れ
こんなにも苦しいのに
こんなにも苦しいのに
「…もう…死ねないィ……」
幼さが吐いた死にたくないが
もう死ねないに変わる
題名:涙の理由
作者:M氏
出演:🎗
【あとがき】
感情をいくら消そうとしても急に溢れる時ってありますよね
大丈夫だと思ってた時とか
いつもなら平気なのにってなる時とか
なんともまぁ悪いタイミングで溢れる感情
その感情の止め方が分からなくなる時が多いです
その感情が本能や自分の本音なら
人間は思いの外めんどうで扱いづらいんでしょうね
未だに原因も理由も何も分かりません
確信が無いので
人間は難しい生き物なんです