もしもタイムマシンがあったなら
過去に戻ってやり直したいことがある
道を間違えないように
後悔をしないように
もっともっと、出来たはずだから
未来を変えることになるけれど
その時の自分に
もっと良い選択をして欲しいと願う
道に迷って困り果てて
偶然見かけた彼女に助けをもとめた
少し驚いて、それから優しく微笑んで
目的地は近くだから、と案内してくれた
可愛い人だな…なんて、心の中で考えて
他愛もない話をしながら、ただ歩くのが心地よかった
目的地までは本当にあっという間で
名残惜しくて、名前を尋ねた
改めて道案内のお礼がしたいから、と理由をつけて
「私の名前は──」
今では誰よりも大切な、名前
私だけ
私だけ知らなかった
何も伝えられなかった
そんなこと誰も望んで居なかったのに
どうして、こうなってしまったのだろう
きっとみんなは私のことを考えて
何も言わなかったのだと理解は出来るけれど
私だけ
切り取られた時間に、取り残されたみたい
遠い日の記憶
“君が好きだ”
その言葉をくれた人はもう居ない
此方の返事を聞くことなく、居なくなってしまった
もっと色んなことを話せば良かった
もっと知って貰いたかった
自身も好意を寄せていたのだと、気づいた時には
もう、遅かった
そんな後悔をもう幾年繰り返している
あの日に想いを馳せながら
「好きだよ、ずっと」
あの日言えなかった言葉を、呟いた
部屋の窓から見える、鮮やかな夕焼け
“逢いたい”
叶わない願いだけど、確かな願い
今どこにいるのだろう
怪我や病気をしてはいないだろうか
気になることはたくさんあって
でも、今の自分には知る術がない
ただ、無事を願うばかり
鮮やかな夕焼けは、あの人を思い出す
「─……」
小さく、誰にも聞こえない声で名前を呼ぶ
もう1度、空を見上げる
わたしは、こんなにも、あなたに…あいたい
─空を見上げて心に浮かんだこと