#郷愁を誘うもの
昔ひいばあちゃんと一緒に桜を見に出掛けた時の話
もうほとんど眼は見えてないと知っていた
ひいばあちゃん桜を楽しめるかな?
車椅子を押しながら僕は不安だった
だけど、
綺麗だね~懐かしいね~
って呟いていたんだ。小さな声でゆっくりと。
きっと香りだったり葉音だったり、、
そういった全身で桜を観ていたのだろう
郷愁を誘うもの
僕はまだ目に映ったものに頼ってしまう若造だ
まだあの可憐な薄紅色がないと楽しめないだろう
これから先の人生、色々チャレンジして様々苦労して、、
そうやって進んでいった先に、
きっとまたひいばあちゃんと一緒に桜を観られる時が来るのかもしれない
#鏡の中の自分
鏡の中の自分はいまいち好きになれない
仮想世界にいるロボットを観てるみたいだ
味気ない
水面に浮かんでくる自分の方がずっといい
風が吹けば歪むし色彩も柔らかい
こっちの方が自然だしずっと暖かい
眠りにつく前のルーティーン
今日を生きるために私が頂いた命達
生姜焼の豚、ポテトサラダのじゃがいも、牛の乳。
今日を生きられたのはあなた達のおかげです
ありがとう
そうやって生まれてから今まで、この身体と一緒に35年間進んできたんだよな
僕は今、頂いてきた命のピラミッドの頂点に立たせてもらっているんだ
この心臓も、胃も腸も僕だけのものじゃないよね、
明日も自分なりに楽しく幸せに過ごそう
こうやって自分の身体になるべく感謝を詰め込んだ状態で眠る様にしてます
漆黒の長い睫毛
深く閉ざす切れ長の目
静かに横たわっているその少女の
あの無垢な瞳を見ることはもう、永遠に叶わない
#理想郷
長野のあづみ野へ帰省する、
都会の喧騒離れていって、
特急列車の車窓から
手前に犀川、奥に南アルプス隆々と、
そのまた大昔、川近くの道路や山の麓の家々、
そういうものが一切無かった景色が確かにそこにあったんだろう
それはもう、実に美しかった理想郷に違いない
年の瀬の冬
しんしんと降る雪
静かな心