11/19/2025, 1:28:45 PM
風が廊下を吹き抜けていった
窓は全部しまっている
奥の部屋の扉がわずかに揺れた
開けようとしているみたいに
その風は何度も何度も何度も扉を揺らした
あの部屋には風など入らないはずなのに、
僕が塞いだはずなのに、
突然、かけたはずの南京錠が落ちた
扉が少し開き
湿った風が僕の首筋を撫でた
「吹き抜ける風」
11/18/2025, 2:08:35 PM
僕のお気に入りだったこのランタン
火を灯すと、あの子が現れる
何も喋らずにただ立っている
顔だけが火が消えた後みたいに真っ暗だ
僕がだいすきだったあの子は、
いつも火と一緒に消えてしまう
あの子が最後に見たのは
このランタンの光だった
光に照らされながら、
ゆっくり息を失っていくのを
僕は黙ってみていた
僕は今日もランタンを灯す
消えたあの子を、逃がさないために
[記憶のランタン]
11/17/2025, 11:54:42 AM
冬へ、君は手紙を書く
「寒くしないでください!」
届くわけもないのに
今年の冬はとても暖かかった
でも、暖かさのかわりに彼女を奪っていった
冬へ、
「彼女を返してください」
届くわけもないのに
[冬へ]
11/16/2025, 1:50:10 PM
「お月様、きれいだね」
外を見たことのないこの子は、手に握った鋭く光るものを見ていう。
絵本で見た、夜になると光るもの。
それが君を傷つける物とも知らずに。
[君を照らす月]
11/16/2025, 3:46:13 AM
いつも通っていた銀杏並木の道。
銀杏は切り倒され、ビル群になっていた。
無機質な道を進むと、隙間からこぼれる光に木漏れ日の跡を見つけた。
[木漏れ日の跡]