⚠️ナマモノ⚠️
════════════════════════════════════
きんと冴え渡る冬。
はー、と息を吐いた私の口は雲をひとつ生む。
あっという間に霧散したそれを見ながら、懲りずにまた雲を生む。
「息白いとさ、まじでもう冬なんだって思うよね」
「それな?」
彼はマフラーに顔を埋めているから雲は出来ない。
なんとなく手袋をした両手をぽむぽむと打ちつける。
「…俺ら、めっちゃ仲良くなったよね」
「急になに?おセンチになっちゃった?」
「いやだってさあ、なんか感慨深くってさあ」
そう言われて、私も初めて出会った時を思い出す。
放置された農具を取りに足を踏み入れた旧校舎。
謎のポーズで飛び出してきた彼と転んで座り込んだ私。
あの日から私たちオカルト部は始まったのだ。
もっとも彼は一人の時でも活動してはいたらしいが。
初めてお菓子をシェアしたとき。
七不思議研究のために部室に泊まったとき。
町の怪事件を追ったとき。
その思い出の中でいつも彼は楽しそうに笑っている。
そうだ、入部を決めたのもこの笑顔に弱いからだった。
「なんでにやにやしてるの?」
「んー?別に〜」
「はあ?我が魔眼の前に偽りは通用しないぞ!」
「じゃあ、当ててみて?」
「えっ、えーっとぉ……」
うんうん悩み始めた彼を2歩追い越して振り返る。
「雪が溶けたらさ、オカルト部結成1周年記念しよ」
「…うん!」
これからもきっと私たちの友情は続いていく。
このぽんこつ男相手じゃ、男女のあれこれを期待したって無駄だから。
この白い息のように彼と私の関係が消えてなくなってしまわないようにと、ただ祈るだけだった。
"白い吐息"
⚠️ナマモノ⚠️
════════════════════════════════════
私は彼を、太陽のような人だと思っている。
熱く、素直で、誠実。
陽気で、優しくて、この世の善を煮詰めたような。
そんな人だ。
何度彼に救われたことか。
彼の語る思いは、私の中で長い間燻っていたものによく似ている。
私の心の片隅で澱んでいた霧が、彼という太陽に出会って晴れていくのだ。
彼は夏の太陽のように熱い男だけれど、夏の太陽ほど鬱陶しくない。
いつも爽やかで、手を引いて一緒に走ってくれる。
私が苦しくて走れなくなっても、歩いたっていい、と言ってまた走り出せるようになるまでずっと横で一緒に歩いてくれるのだ。
彼の生み出すコンテンツは、私たちに存在しない記憶を
植え付けてくる。
それがいつの間にか癖になってしまって困る。
かき氷にしてはキザったらしくて長いメニュー名。
冷たいそれをひとたび口にすれば、脳裏に巡るのは彼と行った夏祭りの情景。
ぺろりと真っ青な舌を見せてくる彼と、同じ舌の色だねと笑い合う。
夜空に咲いた大輪に照らされる彼の横顔は美しかった。
しかしこんなに鮮明なのに存在しないのだ。
これがまたなんだか嬉しいような切ないような。
彼はゲームが苦手でチームバトルはいつも散々な成績。
それでも一緒にゲームすること、それ自体を楽しめる彼のあたたかさが特に好きだ。
彼が仲間と交わす言葉、紡いできた関係性が好きだ。
それをいつまでも大切にできる彼がとても好きだ。
この手も、この声も、きっと彼には届かない。
それでも私はただ、彼の光を追い求めています。
いつもありがとう。
これからもよろしくお願いします。
私の消えない灯り。
"消えない灯り"
きらめく街並み