深夜の登山

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11/26/2022, 10:03:54 AM

はー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

10/22/2022, 2:53:02 AM


中学生の頃、学校行事の登山に行った。新潟と群馬の県境にあるN山だ。
麓の宿で一泊し明け方に山頂に着くように深夜に出発する。山頂に登る途中の道で私は一人遅れ列から離されるようになった。私はみんなに遅れないように必死で歩いた。夜の登山道は真っ暗で、懐中電灯を持っているとは言えその光は暗闇に吸い込まれるようだ。ここから頂上までは一本道なので先生達も生徒に付き添わず頂上で朝食の準備をしている。朝食は頂上に着いた者から宿で用意してくれたおにぎりを食べる事になっていて、みんな早く休憩しておにぎりが食べたいので、急いで登っていた。私はどんどんみんなから離されていった。暫くすると周囲には誰もいなくなり、人の気配も全くなくなった。真っ暗な山の中を懐中電灯の灯りだけを頼りに登り続けた。そう言えばこの山で何年か前に小学生の男の子の神隠し事件があったことを思い出した。こんな時に思い出しては行けない。周囲の暗闇が一層濃くなったような気がした。闇の中に何かいるような気がする。自分の後ろには誰もいないはずなのに、誰かいるような気がする。私が歩く足音の後を追いかけるように足音が聞こえる。いやいや気のせいだ。私は全員に追い抜かれたことを確認している。私の後ろには誰もいない。けれど確実に何ものかの気配がする。男の子が行方不明になったのはこの辺りなのだろうか。お兄ちゃんぼくを探して、ぼくはここにいるよ。声が頭の中に聞こえる。後ろの足音は徐々に近づいているような気がする。足音が大きくなっている。振り返って確かめたいがその勇気がない。心臓が爆発しそうだ。その時、突然後ろから肩を掴まれた。私は思わず振り返ってしまった。そこには小学生の男の子ほどの小さな老婆が歯のない口を大きく開いて立っていた。私は声が枯れるほどの叫び声を上げて意識を失った。
私が意識を失った時間は僅かなものだっただろう。前を歩く同級生に介抱されて目を覚ました。私は散々笑われてしまったが、かの老婆は私たちが泊まった宿の人で、私たちのおにぎりが足りない事に気がついて追加で届けようとしてくれたのだ。頂上に着いた私たちは、すっかり夜の明けた中でおにぎりを食べた。もうなんとも恥ずかしい気持ちでおにぎりの味など良くわからない。その時、先生がおにぎりが余っているといい出した。確かに一人分多い。宿のお婆さんに、おにぎり足りなく無かったですよと言うと、お婆さんは。
確かに、みなさんが一通り出た後に小柄な男の子が後を追いかけて行きましたよ、宿にはお客さま以外の宿泊客はいないので、てっきりお客さまのお連れかと思って朝ごはんが足りないと大変だと追いかけてきました、と言う。私の後ろに男の子がいたのだろうか。余ったおにぎりは先生が食べた。