#ひなまつり
―――
あかりをつけましょ
ぼんぼりに
おはなをあげましょ
もものはな
楽しげに謳う子供の声
画面上には、高く華やかな祭壇
味噌汁を片手に、今日が世で言う所の”ひな祭り“だと言う事を思い出した
『おめでとう』
そう祝われていたのは学校があった頃迄で。
こうして一人暮らしをする様になって
子供もいない身としては
随分縁遠いものになったと思う
自分には関係ないよなぁ...つか時間やべ
眺めている場合ではなかったと、慌ててご飯を搔き込む
「ひな祭りは、女の子の健やかな成長と幸せを願い、お祝いする行事なのですよね」
「そうですね、ちらし寿司やひなあられ、甘酒を楽しむのも良いですね」
では、次のニュースです。
少し話して、画面上のキャスターは次の話題について話し始めた
......帰りに、ちっちゃいちらし寿司でも買うかな
食べ終えた皿をシンクに下げながら、私は少し帰りを楽しみにすることにした
#たった一つの希望
―――
薄暗く
一周まわって音が聞こえてきそうな
そんな、部屋の中
己を包む布に温もりはないが
代わりとでも言う様に、内側は熱く昂っていた
今までと変わらぬ風景の中で
ただ一つだけ
異様な、青い光を放つそれ
それに手を伸ばしている時だけは
私は私ではなく、普通の人間で居られた
...いや、普通と称するのもおかしいか
自傷の笑いは、声にならず
もう、目と頭の痛みは感じなくなっていた
嗚呼、なんとシアワセな事か!!!
「私の居場所は、ここだけだ」
#欲望
―――
冷めやらぬ永遠の乾き
人は大概、その果てを探し
その人生を歩む
...果てなどなかろうに
どうして、と理由を考えるならば
満足できる結果が欲しいのだ、大概の人間は
#遠くの街へ
―――
きっかけは、なんだっただろうか
「旅に行かないか」
まるで、近くのコンビニに誘うように
軽々と言われた言葉
少なくとも、ポテチ片手に夕方の再放送ドラマを見ている時に言う事では無いだろう事
...だが、不思議と嫌だと思う事はなかった
そして、何より
「良いよ、何処に行く?」
彼との、二人旅も悪くないと思った
#現実逃避
―――
決められたレールを飛び出して
先行き不明の旅に出る
乗り物だって、整備が必要だろうから
時に迷って、時に直感に任せて
そうして、新鮮な空気を吸い込んで
また走り出せる様に