ぬるい炭酸と無口な君
買った時には、キンキンに冷えていたのに、いつの間にか、飲みかけの炭酸が、ぬるく気も抜けてきた…
そして、段々無口になる君…元々無口な君が、何時もにまして、無口になるのが、少し心配だけれど…
夏の容赦無い陽射しは、炭酸の強さも、無口だけれど強がりな君をも、どんどん弱らせる力を秘めている…
波にさらわれた手紙
波打ち際で、風に煽られて、波に揉まれていく白い便箋…
波の上を漂う姿は、今の自分のように見える…心に秘めた気持ちを、ずっと隠した儘に、ただあなたの周りをウロウロしているだけ…
素直な気持ちを、言葉にしたいのに、いざとなると、何も言えずに、ただ黙り込むだけで…
身を委ねて漂うばかりの自分を変えなきゃいけないって思うのに…
8月、君に会いたい
久しぶりに帰省する…数年ぶりの故郷には、会いたいひとの顔ぶれが浮かんで、同時に、色々な思い出が、アブクのように沸々と沸いてくる…一コマずつの朧気な記憶の中に、ふっと浮かんだ君の俤…
その君の俤が、わたしの心の中に、打ち上げ花火のように、どんどん広がっていく…
その俤が、愛おしくて、君への想いが、どんどん強くなっている…逢いたい…君に逢いたい…あの日のように、夏陽の中で、微笑む君に…逢いたい…
眩しくて
夕陽が眩しくて、真っ直ぐ見えない…手を翳し乍ら、ゆっくり進むしか無くて…
それは、まるで、あなたを前にした時のようで…何時も並んで歩くのは平気なのに、たまに向き合うと、なぜだか、眩しくて、正視できない…
あなたに恋してる所為なのか、あなたに私が不釣り合いなのか…夕陽のように眩しいあなたと、あなたのように眩しい夕陽は、兎に角眩しい…
熱い鼓動
この、胸のドキドキは、暑さだけじゃないんだ…夏の午後、あなたと2人で歩く動物園…
なるべく日陰を選び乍ら歩いているけれど、動物好きな2人だから、ついつい長居してしまう…
暑い暑いねって言い合い乍ら、指を絡めて歩き廻る…手汗を気にしながら、大好きなあなたと、こうしてデートしていると思うと、改めて、ドキドキしてくる…はしゃぐあなたの横顔を時々見なていると、無意識につないだ手に力が入って…