傘の中の秘密
六月の雨は、少し憂鬱だね…そう呟くきみと、一つの傘で一緒に歩いている…所々に咲く紫陽花や蒲公英が雨に濡れて彩鮮やかになっている…
そうだねって返事をしたけれど、本当は、嫌な事ばかりじゃないよ…こうしてきみと肩を寄せて歩く時間もできるし…
この傘はね、雨を避けるだけじゃ無くて、二人の時間を守る役目もあるんだよ…この梅雨空も、屹度応援してくれているだと思う…
雨上がり
三日続いた雨が漸く止んた…それでも空は、どんよりと雲が低く覆われていて、所々に青空が見えている…
その雲の隙間から、溢れてくる陽射しが、まるでスポットライトのように光が伸びている…その陽射しが当たる山の裾野は、眩しく青葉が光って見える…
まだまだ梅雨の季節だけれど、たまの雨上がりは、何となくホッとするひと時…
勝ち負けなんて
何時も張り合って、喧嘩ばかりしているね…次の曲がり角迄競争したり、テストで競ったり、影踏をしたり…
何時もあなたと2人になると、つい何でも競ってしまう…
勿論、あなたに勝って見て欲しい気持ちもあるけど、本当は、大好きなあなたと一緒にいる口実が欲しいだけで…勝ち負けなんてどうでも良くて、ムキになって一生懸命な横顔を見るのが密かな楽しみで、側にいられる時間が幸せで…
勇気があったなら、素直に気持ちを伝えられるのに…照れ隠しに何時でも勝負してしまう、本当は弱いわたし…
まだ続く物語
ずっとこの先も続いて欲しい…漸くあなたの隣に並んで歩けるようになって、幸せな気持ちになれて…
この先もずっとあなたと紡ぐ二人の物語が続いて欲しい…長い片想いから何とかスタートラインに立てたのだから…屹度あなたとなら、どんな事でも乗り越えていけると信じてる…
渡り鳥
町外れの溜池の鴨が、北に帰ると、入れ替わるように、燕が南からやってくる…長い距離を飛んでくる彼等に、毎年のことながら、凄いなと思う…
色々な危険と戦いながら、はるばる飛んでくる姿は、小さな身体に宿る強さを感じる…人間なら、遊牧民的な自由に何処其処行き来するところが少しだけ羨ましい…