耳を澄ますと
心地よい春風が吹く、この丘で…あなたと二人きりの、このひと時が、甘く切なくて…二人で、青空に浮かぶ白い雲が、ゆっくり流れてゆくのを、ただ、見つめている…
そうしていると、風の音、鳥の囀り、虫の羽音…普段、気付かない、色々な音が、何処からともなく、聴こえてくる…無機質な機械音にはない、優しく安らぐ音の調和に、春を満喫し乍ら、あなたの温もりを、独り占めしている幸せに…
二人だけの秘密
ここだけの秘密…なんて、憧れていた…誰も知らない事を共有する、なんて何かドキドキする…誰にも話さないなんて、出来るだろうか…
そんな事を考え乍ら、あなたのことを想っていた…あの時の、あなたとのあの出来事、誰かに云ってみたい…世界中で、私だけ…って、声に出してみたい…でも、あなたとの約束だから…秘密って、色々な誘惑がありすぎて…
優しくしないで
狡いよ…いつも、気が付くと、隣に居て、さり気なく支えてくれる…ずっと前から…だから、勘違いしそうになるよ…
でも、誰にでも優しいあなただから、私だけに、特別優しい理由では無いこと、判ってる…心算だけど、でも…いつの間にか、私だけ見つめて欲しいって気持ちで、いっぱいになっていて…あなたが、他の誰かと一緒にいるのを見ると、辛くて…だから、そんなに優しくしないで欲しい…けど、でも、あなたの優しさに包まれていたい…
カラフル
今日は、5月1日…桜の季節が過ぎて、躑躅や皐月、藤や芍薬…色々な花が、彩とりどりに、咲いている…若葉も繁り、青空に映えている…
そんな花々と共に、紋白蝶や、てんとう虫や蜜蜂なんかが飛び廻り、一緒に、燕も飛び交っている…色々な生き物達が、長い冬を乗り越えて、活き活きと、命を謳歌している…そんな中で、胸いっぱいに吸い込む空気に、何となく嬉しい感じがしてくる…
楽園
楽園って、何処にあるんだろう…屹度、この地上の何処かにあるはず…
そう思い乍ら、ずっと探し続けてきた…けれど、却々見つからない…居心地よい場所、綺麗な景色、暖かい人達の住む処…それぞれに素適だけれど、何処かしっくり来ない…そして、辿り着いたのは、一番身近に居てくれる、あなたの隣…近すぎて、見えない何処にも無い楽園は、あなたの胸の中だったなんて…