みかん
炬燵とお茶とみかん…子供の頃からの冬の定番風景…蜜柑は、子供の頃は酸っぱいものが多かったけれど、いつ頃からか、甘い蜜柑に変わった…蜜柑で大好きで、段ボール箱一箱、3日位で食べていた…勿論、手は黄疸の如く、黄色くなっていた…うとうとしならがら食べる蜜柑は、ちょっとした贅沢に感じた…家族揃って、テレビを見ながら、他愛もない会話をして、蜜柑を両手の中で転がし、ゆっくり皮を剥いて、一房づつゆっくり口にする…そんな何気ない時間が、懐かしく…
冬休み
久しぶりに、街へ出た…ちょっとした買い物だが、ついでに、ショッピングモールに立ち寄った…やっとの思いで駐車場に車を停めて、店内日程入った…年末も近い所為か、人で溢れていた…小さな子供から、大学生らしいカップル迄、華やいだ顔で、行き来している…そうか、冬休みだもんな、と遠い記憶を、手繰り乍ら、少しセンチメンタルな思いで眺めていた…
手ぶくろ
何故かいつも、手袋の片方だけなくしてしまう…去年は緑色、一昨年はオレンジ、一昨々年は紺色…しかも決まって左手…気が付くと、ポケットの中には、右手だけがポツンと入っている…そんな私に、あの人はくすくす笑い乍ら、いたずらっぽい瞳で、
また無くしたの?仕方ないね~手袋買いに行こう
って言ってくる…ごめんね、って言うと、あの人は嬉しそうに、右手を差し出して、左手に絡めてくる…
変わらないものはない
祇園精舎の鐘の音諸行無常の響きあり…確か平家物語の冒頭の文句だったかな…
この間降った雪で作ったらしい雪だるまが、半分溶けて薄汚れ乍ら、残されているのが、何故か哀しく見えた…多分最初は、純白の雪だるまだっただろうに…其処に、年々老いて行く自分の姿を重ねたら…どんどん変わりゆくことが、ちょっと怖く、でも一方では、変わるチャンスにも思える…まだまだ暫くは、冬景色が続く、また新しい雪だるまに出会えるだろう…
クリスマスの過ごし方
街もマスコミも、クリスマス一色に…煌めくイルミネーション、甘くささやくクリスマスソング…行き交う恋人達が幸せそうに寄り添う姿に、少しだけ…否、大きく心の中が締め付けられる…あの時、素直になれたなら…あなたの温もりが、まだこの手のひらに残っているのに…一人で歩く街の道は、余りに切なくて…