忘れたくても忘れられない
どうしたら…もう遠い昔の話なのに、今でもあの日から…
初めて出逢ったのは、ちょうど今頃の季節で、夕焼けが綺麗な帰り道…何時も立ち寄る本屋で、某作家の新刊を探していた時、先に手にした君を見掛けた…余り知名度のない作家だったので、一寸吃驚したのと、何となく親近感を感じた…其れから何度と無くその本屋で見掛けるようになり、本よりも、君の姿を無意識に探すようになった…言葉を交わすわけでも無く、ただ君の姿が見えただけで、何となく満足できた…けれど、仕事が忙しくなり、暫く行けなくなり、久しぶりにまた行き出して以降、もう君の姿を見ることが無くなり、その内僕も転職して、とうとうあの本屋にも行かなくなり、そして君とも再会することも無く…それなのに、時々、不図した時に、君の姿を探してしまう…
やわらかな光
晩御飯を済ませて、暫くゆっくりした後、散歩に出掛けた…食卓から窓を見ると、月が出ていたから…
久しぶりに出た夜道は、月の光が満ちていて、木々の隙間から溢れる月光が綺麗な影絵のように見えた…頭の隅に中也の詩を手繰り寄せ乍ら、ゆっくりゆっくり一人歩いて…
鋭い眼差し
背中から強い視線を感じる…身体を貫く様な鋭さと、逃げられない強さ…振り返る勇気さえないけど、あいつだと解ってる…ロックオンされて、何時でも何処迄も続く追跡。少しでも隙を見せたら、屹度そうなることも判ってる…今はただ、じっとやり過ごすだけ…
高く高く
何処迄も続く青空を飛べたなら…千切れ雲の間を縫いながら飛ぶ姿を思い描いてみる…真っ白な翼をはためかせられたなら…
どう仕様もない行き詰りを感じる今、せめて自由に空を翔べたら、どんなに救われるだろう…何からも解き放たれて、あの山を超えて、太陽に近付いて、そして…
子供のように
大人ってつまんないよな…あの頃は、大人が羨ましく思えた。自由で、好き勝手で、何でもできる…と思っていた…だけど、意外と窮屈で、面倒くさいと知った…鏡に写る疲れた顔に、苦笑いしてみる…何でもできる気がしたあの時間に戻れたなら…