右側からの扇風機の
風を感じる
右頬から鼻の上を
スーッと風
髪の毛の中の
空気を揺らす風
テーブルに置いた
腕にそって
すべっていく風

今日は扇風機の風が
心地よい
横からの風は
通り抜ける風

夢じゃないかと
思うほど
うれしい事って
めったに無い

とても叶わないと
思っていた事が
なんの巡り合わせか
目の前に来てくれた
というような

膝の上に
仔猫をのせてもらい
横から覗きこむ
大きな眼が
ビー玉のようで

この綺麗な眼を
傷つけないように
守りたいと
思った日
覚める夢じゃなくて
よかった

洋服売場にある
色とりどりの
洋服たち
いったい誰が買うのか
私が不思議に思う派手な服
その服も
私ではない誰かには
ピッタリなのだ

売場の入口に立ち
私が選ぶのはこれ！
と　いつの間にか
指さしていた
心の羅針盤は躊躇がない

小学生のころの
帰りのあいさつは
さようなら
1択だった

大人になると
去り際の挨拶も
人により
場所による

友達同士
またね！
と　言い合うと

その跳ねるリズムに
こちらの気持ちも
弾みだす

父が喜ぶ
ビールの泡
ラテアートの
可愛らしいシロクマ
ひとくち舐めた
ソフトクリーム

子供にとって
アワは魅力的
泡で出てくる
ハンドソープが
美味しそうに見えても
しかたがない

舐めてみたい
このアワを取りこんで
一体となりたい
美味しい味が
するはずと

しんと静かな昼間は
子供が探検の旅に
出ている時だ
(あぶない　あぶない）