星のようなその人に
対する想いは
嫉妬も
独占欲もなく
どんなに
追いかけても
眉をひそめられる
こともない

その人はスター
その輝きを
ただ　願う

人参と
ピーラーを持って
シャッシャッと
皮を剥く

大人になると
同時多発的に
物事を進める事が
良しとされる

皮を剥きながら
頭の中は
さっきの家族の物言いや
一週間後の
用事のあれこれ

今を生きていないので
記憶にも残らない
一年があっという間に過ぎて
毎年　唖然とする

家の庭で
カラスが激しく鳴く
2羽か3羽
あまりに不吉
と思ったが

隣の家の
ガレージの屋根に
ほっそりとしたカラス
端までよろけながら歩き
止まって動かない

親ガラスだろうか
飛べ　飛べ
と叫んでいる
私もつぶやく
飛べ　飛べ

やっと飛べたが
向かいの家の生垣から
どこかへ
姿も見えない
声も遠くなり消えた

どうやら
カラスは飛び立てたらしい
今頃　親ガラスも
どこかの木の枝で
喉を休めているかも

3日家を留守にして
帰ってくると
少し元気がない
という話

抱き上げると
いつになく大人しい
逃げない
うちのネコ

座っていると
よじ登ってくる
キウィキウィ
鳴きながら

赤ちゃんになってしまった！
今だけ　今日だけ
今日は私の
special day

ゆれに弱い私は
舟人にはなれない
ゆれない地面の上で
ゆれる枝と葉を感じる
光は強く
葉ずれの音は新鮮
葉の形の影が
見えたり
くずれたりする

森の中で育った私は
舟人にはなれない
いつまでも
ゆれが怖い