梅雨に入って
くもり空
エアコンも扇風機も
強すぎる日は
うちわを持ち出す
少しの風が
心地よい

さっきは
氷を入れた飲み物
今度は
マグカップに
ホットカフェオレ

暑さと寒さが
拮抗した1本の線
が見えて
自分の身体の恒常性を
考えながら
夜がふける

もしも君が
転んでしまったら
タオルや絆創膏
消毒薬
お腹が空いたら
白い柔らかい
おせんべいと
水筒にお茶

もしものために
マザーズバックは
とりあえずの君の全てを
持ち運ぶ

重いでしょうと言われる
重くない
動き回る君を
抱いている母は
どこかの部品が
変わってた

もともとは
君だけのメロディ
詩が先か
メロディが先か
それは
わからないけれど
日毎に増える
再生回数

この世の物は
分かち合えば
減るのが道理
歌はいいね
分かち合えば合うほど
ヨロコビが
ふえる

義理チョコに
想いをたくすとか
I love youの
模様の入った便箋を
さりげなく使うとか

まわりくどすぎて
伝わらない

一生分の勇気を出したら
うまくいくにしろ
いかないにしろ
勇気はどんどん
湧いて来る

まるで
目の前の箱に登り
体に風を感じる気分

木の雨戸を
ガラガラ　戸袋にしまう
縁側は外であり
内であり

座布団を置いて
友達とおやつを食べ
近所の人は
長話をする

今の時期は
縁側に腰かけて
足をぶらぶらさせる

田んぼの苗は
真っ直ぐ山に伸びて
水面に
雨粒が落ちる

家の庇は
大きな傘で
小さな私は
座布団の猫にくっついて
少しあたたかい
雨音に包まれて