過去の記憶は
わたしの大脳皮質に
現在の記憶は
いったん海馬へ

きっと大部分は
タンスのこやしのように
使われないまま
仕舞い込まれている

では　未来の記憶は？

脳の中のゴミに
じゃまされながらも
楽しい記憶を
とどめていたい

重い家具を
処分して
自分で動かせる
家具だけに
すると
足取りが軽くなる
ココロも軽く軽くなる
風船のように
膨らんで
ひと足ごとに
浮き上がる

星に願ったり
絵馬に願い事を書くが
そんな事では
母の心配は晴れない

自分事ではない願いを
まいにちまいにち祈る
食べ物が喉を通らぬとは
このことか

2月の空には
子を想う家族の祈りが
飛びかっている

同級生同士
同じ歳ではあるけれど
若く見える人と
見えない人といる

その違いは何なのか
じっくり考えたい
じっくり考えて
若く見られる秘訣を
発見したいという
姑息な考え

跳ねるように
近づいて来れるのは
どこにも痛みが
ないということ

まっすぐな背骨を保てるのは
お腹に筋力があるということ

君の背中の肩甲骨は
いつも左右に動いている

ずいぶん遠くへ来た
知らない山道を
ぐんぐん登っていく

初めて見るが
どこかで見た草
知ってる木
かわらやね

助手席から見えるのは
緑の草に呑み込まれた
崩れた廃屋

どこまでいっても
この国では
緑が強い